2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔粘膜上皮層内の細胞外基質配置に関する分子病理学的解析
Project/Area Number |
15591993
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50107778)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
程 くん 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40207460)
依田 浩子 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (60293213)
大城 和文 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (50332648)
朔 敬 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (40145264)
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Keywords | 口腔粘膜上皮 / 皮膚 / 歯胚 / 創傷治癒 / パールカン / ヘパラン硫酸プロテオグリカン / リンパ球 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
1)パールカントランスジェニックマウスをもちいた遺伝子過剰発現系での解析: 前年度までに作成したパールカン上皮細胞過剰発現系トランスジェニックマウスの皮膚、口腔粘膜および歯胚の上皮組織につい発育分化,形態形成について観察したところ、パールカンはケラチン5の発現とほぼ同一の細胞に強発現がみられたので、ケラチン5プロモータによって計画どおり発現調節されていることが判明した。とくにエナメル器星状網における発現が強調されたが、エナメル質合成は必ずしも完全ではなかった。口腔粘膜上皮はやや肥厚して基底膜も強調され、皮膚付属器の密度が上昇する傾向があった。そこで、皮膚および歯肉接合上皮の創傷治癒実験を試みたところ、トランスジェニックマウスでは、潰瘍部の上皮化が対照に比較して早く、また接合上皮が厚く再生される傾向がえられた。以上より、上皮基底細胞にパールカン過剰発現させることによって、器官形成と上皮再生に時期的促進傾向のために異常が生じることから、パールカンが上皮性組織の発育再生に重要な調節因子としての役割をはたしていることが示唆された。 2)上皮層内リンパ球遊走の細胞間基質配置の関連に関する解析: 前年度までに開発した方法によりヒト末梢血リンパ球をパーコール法によって分離し、PHA刺激によって幼若化させたリンパ球画分について細胞外基質およびインテグリン分子の発現の差異を蛋白質ならびにmRNAレベルで検索したところ、これらの分子産生はCD3+リンパ球が主体で、CD4+およびCD8+陽性が確認された。したがって、上皮内遊走細胞としてのT細胞には上皮細胞間隙の上皮由来細胞外基質とともに自らの産生する細胞外基質を利用して上皮層内を遊走する可能性が示唆された。 [総括]前年度および今年度上記までの研究結果から、口腔粘膜上皮層内には扁平上皮細胞由来の細胞外基質が細胞間に配置され、発癌または再生あるいは炎症細胞遊走などに上皮組織の生命現象において重要な役割をはたしている可能性がしめされたので、今後は上皮内細胞外基質分子の機能的解析をすすめ、上皮内基質の概念の確立にむけて研究を展開していきたい。
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Research Products
(6 results)