2004 Fiscal Year Annual Research Report
レーザー処理された齲蝕象牙質の超微細構造学的,分析化学的変化とレジンの接着性
Project/Area Number |
15592020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
冨士谷 盛興 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60190055)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播磨 貴裕 広島大学, 病院・助手 (90343293)
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Keywords | Er:YAGレーザー / CO2レーザー / 超微細構造学的研究 / 齲蝕象牙質 / 照射エネルギー / 接着性レジン / 象牙質接着 |
Research Abstract |
現在まで遂行してきたレーザー処理象牙質表層の形態学的分析は,正常象牙質を用い一定の出力下における変化の分析であった。そこで本年は,齲蝕象牙質に照射したときの構造変化の検討,および照射出力の違いによる形態学的変化の比較検討を行った。すなわち,新鮮抜去ヒト第3大臼歯における象牙質齲蝕をCO2レーザー(1w,0.3sec),あるいは低速のラウンドバーにより除去し,当該表層の超微細構造をTEM(脱灰染色)により検討した。両者とも切削面に大きな差異は認められず切削界面は明瞭であり,また,レーザー処理正常象牙質の表層には高次構造の破壊された象牙質が一層観察されたが,齲蝕象牙質においては認められなかった。レーザーにより影響を被った齲蝕象牙質内層がもともと軟化しているため,エアージェットスケーラーにより除去されたものと推察された。一方,正常象牙質においてCO2レーザー,あるいはEr:YAGレーザーの出力を変化させて照射し,その表層の超微細構造をTEM(脱灰染色)により比較検討した。CO2レーザーの低出力(1w,0.3sec)および高出力(3w,0.3sec)照射象牙質の表層は,前者では外形不明瞭で横紋構造が消失し変性したコラーゲン線維を有する無定形の一層(1~2μm)が観察されたが,後者では認められず横紋構造の観察されるコラーゲン線維が引きちぎられた様な像が観察された。また,Er:YAGレーザーの低出力(60mj,1pps)および高出力(250mj,1pps)照射象牙質表層では,前者はコラーゲン線維の高次構造が破壊された無定形の一層(3~4μm)が観察されたが,後者では全く観察されなかった。レーザーの照射エネルギーが大きいとその影響は表層に限局されることが判明し,したがって高出力レーザー処理象牙質におけるレジンの接着性があまり低下しなかったものと推察された。
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Research Products
(3 results)