2003 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療分野における有機的生理活性素材の臨床応用について
Project/Area Number |
15592023
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
池田 毅 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (90244079)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横田 広彰 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90301366)
柳口 嘉治郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50264255)
|
Keywords | キトサン / 再生医療 / 生分解性 / 脱アセチル化度 / リゾチーム / WGA / Macrophage / 体性免疫 |
Research Abstract |
【目的】 ラットを使用した動物実験にて、骨欠損部に填入されたキチン-キトサンの生体内における吸収過程についてレクチン(WGA)およびリゾチームをマーカーとして検討することにある。 【材料および方法】 6週令のWistar系雄性ラットおよび脱アセチル化度の異なる5種の綿状キチン-キトサン(0、35、50、70、100%)を用い、下顎骨下縁とオトガイ孔の間の骨表面から直径約1mm、深さ約1mmの円筒形骨窩洞を形成した後、窩洞内に填入した。術後1、2、3、4週間経過時に各々のラットを潅流固定した後、キチン-キトサンが填入されている部位を周囲の骨と共に注意深く摘出し低粘性アクリルレジンであるLR-Goldにて包埋した。厚さ約1μmの超薄切片を作製し、トルイジンブルー染色、およびウサギ抗ラットリゾチーム抗体を用いてImmunogold-silver stainingを行い光学顕微鏡にて観察し、さらにWGA-Gold conjugate法にて電顕観察を行った。 【結果】 術後1週間経過時ではすべての脱アセチル化度のキチン-キトサンと関連してリゾチームが認められ、特に0%群に著明であった。また炎症性細胞浸潤は軽微であった。 術後2週間以降はリゾチームの発現が経時的に減少しており、術後4週間経過時では脱アセチル化度100%群ではほとんど認められなかった。 術後すべての経過期間において、脱アセチル化度が高くなるにしたがいリゾチームの発現が減少していた。 また生体内のMacrophageやMonocyteなどの貪食作用による分解を示す所見もみられ、現在詳細を検討中である。 【結論】 キチン-キトサンは生体内酵素であるリゾチームと反応することによって、経時的に生理的吸収されることが示唆された。また、リゾチームの免疫染色の程度とキトサンの脱アセチル化度との間には関連性が認められた。 また液性免疫のみならず体性免疫系の作用でも生分解を受けることが示唆された。 この成果は平成16年8月に開催されるEurope Chitin Chitosan Symposiumで発表予定である。
|