2004 Fiscal Year Annual Research Report
ビスフェノールAを溶出させないBis-GMAモノマーの調製
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15592045
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
門磨 義則 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 助教授 (00092403)
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Keywords | Bis-GMA / ビスフェノールA / ラジカル |
Research Abstract |
Bis-GMA中のビスフェノールA(BPA)を排除する目的で,様々な検討を行った研究成果を以下にまとめた.1.ポリマーのBis-GMAへの溶解性を検討するために,長鎖アルキルあるいは嵩高い側鎖を持つメタクリレートとメタクリル酸メチルの共重合を実施した.Bis-GMAの粘性が高いために十分に溶解しなかったものの,共重合体中には過酸化ベンゾイル(BPO)が残存しているために,Bis-GMAに完全に溶解させると保存安定性の低下を招くことから,Bis-GMAと希釈モノマーの混合物に共重合体を部分溶解させる方法が有望であると考えられた.2.Bis-GMAにラジカル前駆体を加える方法として,カンファーキノン(CQ),チオバルビツル酸(TB),アセチルアセトン銅(CAA)などを単独あるいは組み合わせてBiS-GMAに添加した.CQは光を照射することでBPAを消費することが可能であったが,CQ量が多いと重合も開始させるので,CQの添加量の調整が困難であった.TBやCAAではBis-GMAへの溶解性の問題から安定した効果は認められなかったが,これらのラジカル前駆体を添加する系では重合硬化させた場合には残留BPA量は低下した.3.化学的な安定性を検討するために,Bis-GMAの主成分のみからなる純粋なBis-GMAの調製を行った.市販のBis-GMAをクロロホルムに溶解させ,シリカゲルカラムにて,純粋Bis-GMAの分画を得た.純粋Bis-GMAをラジカル前駆体,共重合体,重合開始剤と共存させた場合のBPAの産生を調べた結果,いずれの場合もBPAは検出されず,BPAを排除したBis-GMAを用いた歯科用レジンはBPAの溶出などによる為害性は問題とならないことが明らかとなった.このように,ラジカルやラジカル前駆体によるBPA排除の可能性が示唆され,BPA吸着剤の応用も今後検討する必要がある.
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Research Products
(3 results)