2003 Fiscal Year Annual Research Report
腫瘍壊死因子可溶性レセプターを用いた重度変形性顎関節症治療の試み
Project/Area Number |
15592050
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
前川 賢治 岡山大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (20304313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
窪木 拓男 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (00225195)
藤澤 拓生 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (20325096)
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Keywords | 変形性顎間節症 / 腫瘍壊死因子 / 可溶性レセプター |
Research Abstract |
有痛性の非復位性関節円板前方転位および変形性顎関節症患者11名(患者群)と健常被験者(コントロール群)10名より採取した顎関節滑液を用い、滑液中のsTNFRs濃度の測定と比較、ならびに患者群におけるOA level、顎関節部の疼痛(安静時、咀嚼時)、開口量(無痛最大、自力最大、強制最大)との関連を検討した。 1)sTNFRs濃度の測定と比較 1.患者群のsTNFR-I,-II濃度はコントロール群のそれらと比べ有意に高かった。 2.両群ともにsTNFR-I濃度は、sTNFR-II濃度より有意に高かった。 2)患者群におけるsTNFRs濃度とOA level、疼痛、開口量との相関関係 1.sTNFR-I濃度は、OA levelと正の相関があったが、疼痛や開口量とは有意な相関はなかった。 2.sTNFR-II濃度は、OA levelと有意な相関はなかったが、咀嚼時疼痛と負の相関があり、いずれの開口量とも正の相関があった。 以上の結果は、顎関節腔内の炎症性サイトカインやマトリックスメタロプロテアーゼ濃度の上昇が、二次的に細胞膜上TNFRをsheddingし、sTNFRs濃度を上昇させるといった基礎研究データを裏付ける結果となった。すなわち炎症巣では局所での炎症寛容性を確立するために非常に巧妙な生体防御機構が働いている可能性がある。また、sTNFR-I濃度は顎関節における炎症や退行性変化の既往と関連があり、sTNFR-II濃度は、患者の日常生活で支障を来す疼痛や開口障害と関連があることが示唆された。さらに顎関節滑液中のsTNFRs量の不足状態は変形性顎関節症の発症、進行の促進と関係があり、逆に過飽和状態であれば,この疾患の発症、進行は阻止できる可能性があると考えられた。つまり過飽和状態をつくりだせれば、今後の変形性顎関節症治療への応用が可能になると考えられた。
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Research Products
(1 results)