2003 Fiscal Year Annual Research Report
生体吸収性のガラス繊維とポリマーの複合による硬組織再生支援FRPの開発
Project/Area Number |
15592053
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
河野 文昭 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 教授 (60195120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大石 美佳 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (50263851)
宮本 洋二 秋田大学, 医学部附属病院, 助教授 (20200214)
今 政幸 徳島大学, 歯学部, 助手 (80116813)
安陪 晋 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10359911)
山内 英嗣 徳島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助手 (10304544)
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Keywords | 生体吸収ポリマー / ガラス繊維 / FRP / NCPS系ガラス / NCTS系ガラス / 引張強さ / 溶出挙動 |
Research Abstract |
生体吸収性ポリマーに生体分解性を有するガラス繊維を複合することにより、機械的性質に優れる生体吸収性FRP(繊維強化プラスチック)の創製を目的としている。本年度は強化材としての生体分解性を有するガラス繊維の試作を目標に、まずバイオガラス系の組成としてNa_2O-CaO-P_2O_5-SiO_2(NCPS)系ガラスの繊維化を検討した。 NCPS系組成のガラス化試験から、繊維化に適する組成を選択した後、ガラス繊維を紡糸した。試作したNCPS系ガラス繊維は耐食性が極端に低く、大気中での短期間保存で風化する傾向を示したため、本研究の目的遂行に対して不適格であると判断した。 そこで耐蝕性の向上を考慮し、ガラス中にTiO_2を混入させたNa_2O-CaO-TiO_2SiO_2(NCTS)系ガラスの繊維化を検討することに変更した。NCTS系組成のガラス化範囲はTiO_2含有率10%および15%で、SiO_2 60〜70%、CaO 10〜20%、Na_2O 10〜30%となることを明らかにした。ガラスの粘性等を考慮し、NCTS系ガラスの繊維化にはNa_2O、CaO、TiO_2、SiO_2成分を各々、18、9、9、64mass%または17、9、13、61mass%の組成を適用し、溶融巻取り紡糸法により直径約15μmのガラス長繊維を試作した。試作直後のNCTSガラス繊維の引張強さは、約2300MPaの値を示し、一般的なEガラス繊維より高い強さが得られた。この試作したガラス繊維を純水、生理的食塩水、擬似体液に浸漬し、溶出挙動や機械的性質の変化などを調べた。各種溶液に20日間浸漬した結果、ガラス中よりTiO_2成分はほとんど溶出しないが、他の成分はガラス中の成分含有量に比例し、かなり溶出することがわかった。浸漬後のガラス繊維の引張強さは溶出量に比例して低下する傾向を示し、特に擬似体液浸漬20日後で、浸漬前の引張強さより70%程度低下することを確認した。繊維組成のNCTSガラスについて、ラットの骨芽細胞による細胞培養試験を行った結果、細胞培養に及ぼすガラス成分溶出の悪影響がないことを確認した。 以上、試作したガラス繊維が体液中で分解する可能性を確認し、強化材として使用可能な初期強度を有することを明らかにした。
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