2003 Fiscal Year Annual Research Report
顎関節症に対してスプリント療法は,ほんとうに効果があるのか?
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15592056
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
藤井 哲則 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (40165337)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳥巣 哲朗 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (80264258)
山邊 芳久 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (90191379)
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Keywords | 顎関節症 / スプリント療法 / 咬合状態 / ブラキシズム / 筋・筋膜疼痛 / 症状消退時期 |
Research Abstract |
平成15年は、スプリント療法の効果を咬合状態の変化というパラメーターから検討した。 1.スプリント治療前後の咬合状態の比較検討。 方法:ブラキシズム患者で、筋・筋膜疼痛を有する者30名と有しない者30名のスプリント療法前後の咬合状態を比較した。結果:咬頭嵌合位、側方運動の作業側や非作業側、後方歯牙接触位のそれぞれの咬合接触に関しては、咬合が変化した頻度は両群間で有意な差はなかった。しかし治療前後で上記の咬合状態が変化した全体的な頻度は筋・筋膜疼痛を有した群が有しなかった群よりも高かった(86.7%、63.3%;x2検定、p<0.05)。考察:顎関節症の一病態である筋・筋膜疼痛に対して、スプリントが咬合位や側方運動時の筋活動を変化させる可能性を示した。公表:この結果は、IADRで口頭発表し、J Craniomandibular Pracに投稿した。 2.顎関節症の各症状に対するスプリント療法による、症状消退時期の比較検討。 方法:顎関節症患者128名に対してスプリントによる単独処置を行い、各症状の消退時期を比較検討した。結果:疼痛(6.8週)は顎関節雑音(12.0週)に比較して有意に短かった(p=0.001)。疼痛のみ(5.1週)は疼痛+開口障害(8.2週)や疼痛+雑音(6.4週)に比較して短かった(p<0.05)。初発から初診時までの症状が、疼痛のみ(4.8週)は疼痛、雑音と開口障害(8.1週)に比較して短かった(p<0.05)。考察:スプリント単独療法においては、症状の消退時期は症状の合併や、初発からの発現症状数に影響されることがわかった。 公表:この結果はJ Oral Rehabilitationに投稿準備中である。 次年度の計画:MRIにより、顎関節症を関節円板の位置から分類した各病態群に対するスプリント療法の検討をする予定である。
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