2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆モデル動物における咀嚼運動と海馬からの神経伝達物質遊離の関連性
Project/Area Number |
15592078
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
木本 克彦 神奈川歯科大学, 歯学部, 講師 (70205011)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯山 徳行 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教授 (80121044)
豊田 實 神奈川歯科大学, 歯学部, 教授 (30130925)
堀 紀雄 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20386832)
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Keywords | マイクロダイヤリシス / 海馬 / ドーパミン / ストレス / 痴呆モデルマウス |
Research Abstract |
本研究の目的は、脳内の神経伝達物質を分子マーカーとして、アルツハイマー病と関連の深い海馬と咀嚼運動との関係について調べることにある。特にドーパミンは、アルツハイマー病の原因であるβアミロイド蛋白を分解するサブスタンスPの合成に深く関わっていることから、このドーパミンを分子マーカーとして、実験を行なった。 本年度の前半は、本研究室が行なっている一連のストレス実験系を用いて、海馬におけるドーパミンの遊離と咀嚼による影響についての実験を行なった。実験にはWister系雄性ラットを使用し、麻酔下で脳内にプローブを埋入固定し,翌日脳脊髄液の還流を行った.その後,拘束ストレスを60分与え,また咀嚼群として拘束ストス負荷の間,直径0.5cmの木の棒を噛ませた.マイクロダイヤリシス法(HTHC500エイコム社製)によって採取されたサンプルは液体クロマトグラフィーにより濃度測定を行った.その結果、ドーパミンの濃度はストレス負荷した場合、有意に上昇し,咀嚼条件を与えた場合,ストレス群と比較し,有意に抑制された.このようなことから、本実験システムを用いることにより、計測が難しかった海馬からの微量なドーパミンを検出することが可能になり、さらに咀嚼することによりドーパミンの分泌量が有意に変化することも確認できた。 一方後半においては、新田、鍋島(1996)らの方法に準じて痴呆モデルマウスの作製を行なった。つまり、浸透圧ミニポンプをラットの背部皮下に埋め込み、ポンプと接続している歯科用注射針を脳室へ挿入して、βアミロイド蛋白を300pmole/day注入する方法である。試行錯誤の結果、2週間以上生存するラットを安定的に供給できる技術を修得した。 尚、本ラットは、海馬内にけるβアミロイド蛋白の沈着と行動実験による学習・記憶障害がすでに確認されている。
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