2003 Fiscal Year Annual Research Report
インプラントクラウン・ブリッジにおける咬合接触状態の評価基準の確立
Project/Area Number |
15592089
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
川添 堯彬 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (50076022)
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Keywords | 三次元咬合検査法 / 咬合力 / 咬頭嵌合位 |
Research Abstract |
これまでにインプラントに関する力学的研究は多く報告されているが,実際の口腔内における咬合接触状態を三次元的に解析したものは見当たらない.インプラントには歯根膜が存在しないため,生理的な沈下は生じない.そのため,より詳細な咬合接触状態を明らかにする必要があると考えられる.そこで従来の三次元咬合検査法を改良し,シリコーンバイトの三次元咬合接触データと感圧フィルムの咬合力から三次元咬合力を求め,解析することとした. 第一段階として方法を確立させる必要があり,顎口腔系に自覚的,他覚的に機能障害を認めず咬頭を被覆する修復処置のない健常有歯顎者5名を被検者として選択した.被検者に最大随意咬みしめを行わせ,金属フレームと咬合採得材(GN-I CADシリコーン,ジーシー社製)を用いて,咬頭嵌合位においてシリコーンバイトを採得した.シリコーンバイトの上下顎印象面を非接触三次元形状計測装置(SURFLACER VMS-250R,UNISN社製)を用いて形状計測し,上顎咬合平面を基準平面とし基準座標を設定した.咬合力は咬合力測定用感圧フィルム(デンタルプレスケール,50H,タイプR,富士フィルム社製)と専用解析装置(オクルーザー,FPD-705,富士フィルム社製)を用いて測定した.シリコーンバイトと感圧フィルムから各咬合接触面に作用した咬合力を同定した. 咬合接触面に含まれる点群から法線ベクトルを求め,作用する咬合力を大きさとした三次元咬合力ベクトルを作成した. 解析には,剛体の多点に様々な大きさと方向で作用する力を一軸上の合力と軸周りのモーメントとして表現できるwrenchの方法を用いた. その結果,三次元咬合力ベクトルの合力と軸周りのモーメントは大臼歯で大きく,傾斜方向では,第一小臼歯で近心頬側に,第二小臼歯以後では近心舌側に傾斜する傾向を示した.シリコーンバイトの三次元咬合接触データと感圧フィルムの咬合力から三次元咬合力を求めることができた. 現在,評価基準確立のため健常有歯顎者の解析をすすめているところである.
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