2003 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト口腔癌における抗癌剤耐性形質の検討とそのリンパ節転移巣との相違の研究
Project/Area Number |
15592094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
新田 康隆 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (80250794)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹林 勇二 福島県立医科大学, 医学部, 講師 (70321982)
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Keywords | 癌化学療法 / 予後 / 膜輸送 / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
1.口腔扁平上皮癌における抗癌剤:シスプラチンの感受性に関与した銅の膜輸送体であるATP7Bの発現をMDR1,MRP1,-2,BCRP, LRPの発現と比較検討を行った。その結果、口腔扁平上皮癌でATP7Bが発現していることを初めて明らかにするとともに正常組織と比較して癌細胞において強い発現が認められた。 口腔扁平上皮癌51検体中、ATP7B陽性が28例、陰性が23例だった。シスプラチンをベースとした癌化学療法において、陽性の28例中17例(61.0%)でその効果が認められなかった。逆に陰性の23例中16例(70.0%)でC. R. かP. R. の効果が認められた。患者の予後とATP7Bの発現を比較検討したところ、陽性群は陰性群と比較して有意に予後不良であった。(P=0,015) 以上の結果はATP7Bが口腔扁平上皮癌において癌化学療法の奏功率を向上させると考えられた。 2.5-FUの前駆体である5-フルオロウリジンを5-FUに変換する酵素:ウリジンフォスフォリラーゼ(以下UP)の口腔扁平上皮癌での発現を検討したところUP陽性症例(50%以上の癌細胞がUP陽性)はUP陰性症例と比較して頚部リンパ節転移の割り合いが有意に高かった。(p=0,007)さらにUP強陽性症例(50%以上の癌細胞がUP陽性)では有意に予後不良であった。(p=0,03) 現在、未治療時原発巣、化学療法後の原発巣、化学療法後の所属リンパ節転移巣からの組織を採取し、これらの遺伝子の発現との関連を検索中である。
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