2004 Fiscal Year Annual Research Report
DPD遺伝子発現に基づいた口腔癌化学療法の効果及び副作用の術前診断システムの確立
Project/Area Number |
15592095
|
Research Institution | TOHOKU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
森川 秀広 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (60302155)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 士朗 東北大学, 病院・講師 (80230069)
千葉 雅俊 東北大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70261526)
|
Keywords | 口腔癌 / 癌化学療法 / Dihydro pyrimidine dehydrogenase / 5-fluorouracil / cisplatin / 副作用 / RT-PCR / mRNA |
Research Abstract |
本研究の目的は,5-FUの分解における律速酵素であるDPDの腫瘍細胞中の活性が低ければ5-FUの抗腫瘍効果は高くなり,正常細胞中のDPD活性が低ければ5-FUの副作用は重くなるという仮定のもとに,癌化学療法の効果や副作用の程度を術前に評価するシステムを確立することである. これまで我々は,口腔扁平上皮癌におけるDPDの分布を確認するため,抗DPD抗体を用いた免疫組織化学的検討を行った.その結果,新鮮凍結組織切片を用いるか,ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片を用いるかによって,染色結果が異なること,同じ組織切片上においても場所によって染色結果が異なること等からDPDの発現の評価の問題が浮上してきた.また,5-FUの正常細胞への影響を評価する方法を確立するため,ヒト末梢単核球細胞における5-FUによるアポトーシスの誘導を検討したところ,アポトーシスの促進あるいは抑制タンパクのmRNAの発現に方向性を見出すことができず,アポトーシスの促進あるいは抑制を評価することが困難であることが明らかとなった.これまで我々は,5-FUの投与により重篤な副作用を生じ,末梢単核球細胞のDPD活性がこれまで報告されているレベルよりかなり低い症例を経験しているが,このような症例においては,DPD活性の術前評価は非常に有効な指標と成り得るが,上記のように腫瘍細胞におけるDPDの発現の評価が困難であること,末梢単核球細胞におけるアポトーシス関連タンパクのmRNAの発現の意義付けが困難であることなどから,大多数の患者におけるDPD活性の術前評価の有効性を示すにはさらに多くの検討が必要である.最近我々は,正常組織におけるDPD活性が低い患者でも5-FUを使用できるよう,ナノバブルを用いた新しい癌化学療法の開発に着手し,5-FUの使用量を減らし,且つ有効性を向上させ得る有望な基礎的データを得ている.
|