2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスホルモンと催眠深度を用いた全身管理法の研究
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15592101
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
吉川 文広 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 助手 (50313234)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海野 雅浩 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (90014125)
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Keywords | ストレスホルモン / 睡眠深度 / 全身管理法 |
Research Abstract |
これまで,全身麻酔下口腔外科小手術における健常高齢者の周術期におけるストレスホルモンが生体にどのような影響を及ぼすのかを検討した結果,Epinephrineを以外のストレスホルモンの変化に年齢による違いは認められなかった.さらに手術侵襲の大きな顎骨骨切り術に低血圧麻酔法を併用し,adrenocorticotropic hormone (ACTH), cortisol, norepinephrine, lactic acid, pyruvic acidの内分泌機能検査を行い,ストレスホルモンの分泌量や麻酔時の全身状態を調べることにより手術や麻酔におけるストレス状態を評価した.また,全身麻酔に広く用いられているプロポフォールまたはミダゾラムが循環動態に影響があることは確認されているが,この変動の機序には自律神経の心臓支が関与していることが示唆されており,交感神経刺激あるいは副交感神経刺激によるものであるとの議論がなされている.そこで,これらの薬剤を少量使う静脈内鎮静法において,循環動態,特に心拍数と血圧を変動させるとの報告があるが不明な点が多いため,我々はプロポフォールまたはミダゾラムを使用した睡眠深度の測定を行い,循環動態とそこから得られる自律神経の指標となる心拍変動についても検討し,静脈内鎮静法に使われるプロポフォールとミダゾラムは,それぞれ心拍数と心拍変動に異なった影響を与えることを解析し,交感・迷走神経活動を非侵襲的に測定できる心拍変動から,プロポフォールあるいはミダゾラムによる有意識下鎮静は,プロポフォールは副交感神経優位に,ミダゾラムは交感神経優位をもたらすことがわかり,臨床的には,心・血管系に合併疾患を有する患者には,各々の薬剤の特性を考慮に入れた応用が望ましいと考えられた.次に上記研究結果とストレスを抑制する手段のひとつとして,レーザーを照射することにより,針を刺すことなく局所麻酔薬を皮下深部に到達させる方法を検討することにより,最小用量の麻酔薬でストレスを最小限に抑制する経済的で体にやさしい全身管理法を確立する.
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