2004 Fiscal Year Annual Research Report
低酸素症が自律神経機能に及ぼす影響-自律神経活性と脳内ホルモン動態に関する検討-
Project/Area Number |
15592106
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
杉村 光隆 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (90244954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹羽 均 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (30218250)
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Keywords | 低酸素症 / 自律神経 / 交感神経系活性 / 心臓迷走神経系活性 / 血圧ゆらぎ / 心拍ゆらぎ / ドーパミン / セロトニン |
Research Abstract |
【目的】急性の低酸素症が高血圧自然発症ラット(SHR)の自律神経系の活性と線条体ドーパミンの動態に及ぼす影響を検討した。【方法】動脈圧用カニューレおよびマイクロダイアリシス用プローブを挿入した雄性SHRの収縮期血圧(SBP)、心拍数(HR)および線条体ドーパミン(DA)を覚醒・無拘束下で測定し、血圧ゆらぎの低周波成分(SBP-LF)、心拍ゆらぎの高周波成分(HR-HF)を解析した。F_1O_2=0.2から5分間でF_1O_2=0.1まで下降させ(下降期)、10分間維持した(維持期)。この後、5分間で再びF_1O_2=0.2まで上昇させ(上昇期)、20分間観察した(回復期)。対照群にはWistar Kyoto Rat(WKY)を用いた。【結果】(1)SHRとWKYの両群のHR、SBP、HR-HFの変動パターンに有意差を認めた。(2)HRは両群ともに有意な増加を認めたが、SHRで著明であった。(3)SBPは両群とも維持期前半で血圧が上昇し、SHRでは上昇期から回復期に血圧低下が持続した。(4)SBP-LFは両群とも維持期の初期で上昇した。(5)HR-HFはSHRで下降期から回復期にかけて著明に低下した。(6)DAは両群とも維持期の後半から回復期に増加した。【考察】(1)急性の低酸素症は両群とも循環変動を亢進させるが、SHRでの変動が著しい。SHRでは交感神経系の活性の上昇に加えて、心臓迷走神経系の活性の著明な低下がその要因と考えられる。また、血圧上昇時にも迷走神経系の活性の低下が持続することから、圧受容体反射の感受性の低下が示唆される。(2)両群の線条体ドーパミンの変動は交感神経系の活性の変化に追随して増加し、可逆的であった。 なお、H15年度実施した正常血圧ラットでの研究論文は、間もなく投稿予定である。現在執筆中の今年度分についても、学会発表および英文雑誌への投稿を検討している。
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