2004 Fiscal Year Annual Research Report
免疫抑制剤による培養系骨粗鬆症モデルの開発と骨吸収メカニズムの分子生物学的解析
Project/Area Number |
15592108
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Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
福永 城司 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (10284069)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻極 秀次 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70335628)
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Keywords | 骨粗鬆症 / 免疫抑制剤 / T, B細胞 / 骨代謝マーカー / FACS |
Research Abstract |
平成16年度は、免疫と骨の関係および骨粗鬆症出現の原因追求への足がかりになることを目的に,その第一段階として,FK506投与骨粗鬆症マウスを用いて骨髄内関連遺伝子動態の解明を行うこととした。研究成果:実験群にはFK506を,対照群には生理食塩水を連日腹腔内投与した。投与1週間後に大腿骨を採取し、M-CSF, s-RANKLの添加により破骨細胞へと分化誘導した。破骨細胞数は、TRAP染色を行い,破骨細胞の吸収活性(pit assay)は象牙質片を入れて培養を行い,破貧食された面積を画像解析により計測することで吸収活性を評価した。FK506投与マウスの方が,破骨細胞の形成と吸収窩は対照群と比較し有意に増加した。次に実験群と対照群における骨髄内遺伝子発現の差異を,mouse development oligo microarrayによる20371個の遺伝子について発現解析を行い,FK506投与によりup regulatedあるいはdown regulatedされた遺伝子を検索し、遺伝子発現解析を行った。その結果,対照群と比較し2倍以上の発現差が認められたのは、2487個の遺伝子であった。マイクロアレイ解析の結果、免疫抑制剤FK506を投与した場合に比較的大きく動く遺伝子のうち、骨や免疫系に関するものをリアルタイムPCRにて確認したところ、Gelsoli遺伝子が有意に変化していた。この遺伝子は破骨細胞のアクチンリングに関係し、破骨細胞の活性を裏付けた。さらにFK506投与骨粗鬆症マウスの血清をELISA法でIL-4,IFN-γ,TRAP, RANKLを検索した。その結果TRAP, RANKLが有意に対照群より増加していた。これらからFK506投与骨粗鬆症マウスは全身的に破骨細胞を増加させる作用が働いていた。次にフローサイトメトリーを用いた脾臓、腸間膜リンパ節免疫細胞数の比較では、骨粗鬆症実験動物から脾臓、腸間膜リンパ節のT、B細胞を抽出し、FACSで経時変化を見た。その結果免疫抑制剤によりT細胞は減少し、B細胞は増加していた。すなわち、免疫抑制剤により全身的にT, B細胞が増減していることが分かった。脾臓、腸間膜で起きた免疫細胞の変化が骨髄中で起きている可能性は高い。それで今後骨粗鬆症モデルの骨髄中免疫細胞を検討することが必要である。
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Research Products
(4 results)