2003 Fiscal Year Annual Research Report
唇顎口蓋裂患者におけるPRP(多血小板皿漿)の有用性に関する研究
Project/Area Number |
15592120
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
守山 泰司 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70315430)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野添 悦郎 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (40208351)
三村 保 鹿児島大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70028760)
西原 一秀 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (30253892)
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Keywords | 多血小板血漿(PRP) / 唇顎口蓋裂 / TFG-β2 / 骨移植 |
Research Abstract |
唇顎口蓋裂患児の治療は出生直後から長期に亘って行われ、特に手術の治療成績で良好な結果を得るには多大なる努力が必要である。 近年、多血小板血漿(PRP)が術後の創傷治癒や骨移植後の骨再生促進に良好な治癒結果をもたらすと言われている。今回、われわれは唇顎口蓋裂患児の手術治療成績におけるPRPの有用性を検討するために顎裂部自家腸骨(海綿骨および骨ブロック)移植術にPRPを使用し、PRP中に含まれる成長因子TGF-β2と血小板濃縮率を測定するとともにその臨床的効果を検討し、若干の知見を得たので報告する。 PRPは当科所有のSmart Prepシステムを使用し、患児の自己血20mlから約3mlを精製・作成した。抽出したPRPは、顎裂部に腸骨海綿骨を移植した患児9名(片側性唇顎口蓋裂6名、両側性唇顎口蓋裂3名)とインプラント埋入目的で腸骨骨片ブロックを移植した片側性唇顎口蓋裂患児1名に使用された。 PRP精製による血小板の濃縮増加率では、精製前は平均29.0±7.3×10^4/mm^3で、精製後は平均97.3±23.3×10^4/mm^3で濃縮増加率は337.8%であった。術後の創傷治癒では、腸骨海綿骨ならびに骨片ブロック移植患児のいづれも治癒は良好で術後の創の感染や離開、骨露出を起こした症例は認めなかった。 移植骨のアルミニウム当量値は、PRP未使用症例に比べ術後早期に上昇し、移植骨の骨再生促進に有用であることが示唆された。 PRPの創傷治癒促進効果には成長因子が関与している考えられ、今回、腸骨海綿骨移植症例の形質転換成長因子、TGF-β2をQuantikine ELISA kits #DB250を用いてModel 680 MICROPLATE READERにて測定した結果、140.4ng/mlと高値を示した。 今後は、TGF-β2と移植骨の骨再生促進との関連性を研究する予定である。
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