Research Abstract |
口腔扁平苔癬(以下OLP)における上皮細胞間のギャップ結合の構成蛋白であるコネキシン(connexin)の発現と病態との関わりについて,免疫組織化学的に検討した.九州歯科大学口腔外科学第二講座にて治療を行う患者から得られた,正常口腔粘膜組織と,OLPの生検組織より凍結切片を作製し,各組織におけるコネキシンの発現をしらべた.正常粘膜組織としては,埋伏歯抜歯時に切除した歯肉や,開窓術時に切除した口腔粘膜などを用いた.得られた組織はOCT compound包埋後,ドライアイス+イソペンタンにて急速凍結して-80度で保存した.OLPの生検組織についてはホルマリン固定標本の病理組織検査にて確定診断を下した.凍結標本を教室保有のクリオスタットで5μm厚に薄切して凍結切片を作製し,コネキシン26,コネキシン32,コネキシン43に対する一次抗体を用いて蛍光抗体法(間接法)にて免疫染色を行った.染色終了後,教室保有の光学顕微鏡にて観察し,コネキシンの発現パターン,浸潤リンパ球や臨床所見との関わり等について検討した.昨年度より症例を追加し,その染色結果より,正常口腔粘膜上皮,OLP上皮ともにコネキシン26,43の発現が認められ,コネキシン32の発現はほとんど認められなかった.また,染色程度を点数化して評価したところ,正常粘膜上皮と比較して,OLP上皮ではコネキシン43の発現が減弱する傾向が認められた.それから,OLP上皮の染色程度と臨床視診型,リンパ球浸潤程度,上皮性異形成との関連について検討したところ,明らかな関連は認められなかった.今後さらに,Ki67抗体,CD3,CD4,CD8,CD45RA,CD45RO,γδTCR等に対する一次抗体を用いた染色と,コネキシン26,43のRNAプローブを用いたin situハイブリダイゼーションを行っていく予定である。
|