2005 Fiscal Year Annual Research Report
メトキシフェノール関連化合物の炎症性サイトカイン発現調節作用を探る
Project/Area Number |
15592133
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Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
村上 幸生 明海大学, 歯学部, 助手 (00286014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹下 玲 明海大学, 歯学部, 講師 (70236454)
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Keywords | LPS / メトキシフェノール / 炎症性サイトカイン / COX-2 / BDE / フェノール作用 / 抗炎症作用 / P.gingivalis線毛 |
Research Abstract |
優れた抗酸化剤や香料として広く化粧品や食品添加物として使用されているメトキシフェノール関連化合物は抗炎症作用や口腔前癌病変の発癌予防効果を示すことが知られているが、これらの単量体は自らフェノキシラジカル化し生体為害反応を引き起こすことが報告されている。ゆえにFujisawaらはメトキシフェノール関連二量体化合物を合成し、これらの化合物が単量体の優れた抗炎症作用、抗癌作用、抗酸化作用を温存したままで低細胞障害性と高抗酸化力を示すことを発見した。この結果はこれらの化合物が炎症性サイトカイン発現の調節作用を有する可能性を示唆した。私共は昨年度までの研究でメトキシフェノール二量体であるbis-eugenol、deihydrodiisoeugenolがRAW264.7細胞のLPS刺激の炎症性サイトカイン発現と炎症や発癌、サイトカイン発現に主要な役割を演じるシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)発現を著明に抑制することを発見した。この結果は二量体化メトキシフェノール関連化合物が抗炎症剤、前癌病変の予防剤として有用である可能性を示唆した。私共は今年度の研究においてこれらの二量体化合物の抗炎症作用のメカニズムをさらに追及する目的でferulic acid、bis-ferulic acid、 methoxy-methylphenol(MMP)、bis-MMP、butylhydroxyanisole(BHA)、bis-BHA、関連化合物であるhesperetin、hesperidin、o-vanillin、isoferulic acidを使用してLPS刺激炎症性サイトカインとCOX-2発現の調節作用を検討した。Ferulic acid、isoferulic acid、MMP、BHA、o-vanillin(東京化成社)、hesperetin、hesperidin(Sigma社)、メトキシフェノール関連化合物二量体(bis-ferulic acid、bis-MMP、bis-BHAは各単量体から合成)を使用した。LPSはEscherichia coli0-111B4由来(LBL社)を使用した。歯周病細菌であるPorphyromonas gingivalis線毛はYoshimuraらの方法に準じて精製した。COX-2発現はNorthern blot法で検討した。NF-κB活性化はEMSA法とWestern blot法で検討した。LPS刺激COX-2発現は二量体であるbis-ferulic acidとbis-MMPで認められた。しかしそれらの単量体では抑制されなかった。関連化合物であるhesperetin, hesperidin, vanillin, isoferulic acidでも高濃度ではあるが細胞障害性なしに抑制作用が認められた。構造-COX-2抑制活性の関係を検討したところ中等度のフェノール性OH基解離エンタルピー(BDE)を持つ化合物にこの抑制作用が著明に認められることが判明した。同様にP.gingivalis線毛刺激の炎症性サイトカイン発現はBHAでなくbis-BHAにより著明に抑制された。この結果はメトキシフェノール関連化合物の二量体が非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)に似た抗炎症作用を有する可能性を示唆した。今年度の研究結果は、メトキシフェノール関連化合物二量体の炎症性サイトカイン抑制作用がその構造特異性に基づく所謂フェノール作用に起因している可能性を示唆したが、その詳細なメカニズムの解明には構造-遺伝子転写制御に関するさらなる検討が必要と考える。
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Research Products
(5 results)