2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌の進展におけるCOX-2発現に伴なう細胞周期制御因子の発現異常と予後
Project/Area Number |
15592148
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
櫻井 一成 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (30129118)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦出 雅裕 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70104883)
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Keywords | 口腔癌 / 扁平上皮癌 / 浸潤・転移 / COX-2 / 細胞周期制御遺伝子 / 免疫組織化学 / in situ hybridization / 予後因子 |
Research Abstract |
現在までに口腔扁平上皮癌(OSCC)200例におけるCOX-2発現と増殖動態の検索で、COX-2が転移に際して早期に誘導され、高発現例に予後不良例が多いことを見い出し、COX-2が癌の浸潤先進部に極めて高発現し、COX-2が口腔癌における浸潤・転移関連遺伝子および予後因子としての性格を有することが判明した。そこでCOX-2発現に関連するp53-Rb pathwayおよび細胞周期制御遺伝子群の動向を主体に検索を重ねてきた。以上の結果をもとに、本年度は以下の項目について検索を進め、下記の検討結果を得た。COX-2発現に関連するp53およびRbの各遺伝子に直接的的関与が予想されるHPV-E6,E7遺伝子発現の検索において、COX-2発現のみられた口腔扁平上皮癌82例にHPV16型および18型の検出をIHCおよびBrigati標識オリゴプローブを用いたISH法により行ったところ、COX-2低発現例45例のうち、78%にHPV16型が、また69%に18型が検出された。以上を前年度までの結果を含めて検討した結果、両型陽性例の全例にTopo IIαLIの比較的高値、Rb蛋白の過剰発現とともに、p21/p53、cyclinB, D1,E過剰発現が認められたが、p27蛋白の発現低下は示されなかった。以上より、OSCCにおいては、COX-2過剰発現とともにCOX-2 path-wayを介したp53-Rb経路における様々な細胞周期制御遺伝子の破綻により、cell cycleを急激に進行させ口腔癌の増殖を高めるが、COX-2低発現とともにHPV16/18型が検出される例においては、E6,E7遺伝子の関与により、p27遺伝子異常を修復回避する可能性がある。またCOX-2高発現例では、p27蛋白の著明な発現低下に連動しOSCCの進行を加速させ、予後不良に関与するものと推察される一方、COX-2低発現例においては、HPV16/18型の高発現およびp27蛋白レベルが比較的安定で、癌の増殖を局所に止め、予後を比較的良好に保つ可能性が示唆された。以上の検索結果から、COX-2は様々な細胞周期制御遺伝子の異常と連動し、口腔癌の浸潤・転移と密接に関連するとともに、予後因子と成り得るものと考えられた。なお浸潤・転移に伴うCOX-2およびlaminin-5、Integrinα発現の関連性については、COX-2,Laminin-5間の相互発現が73%に認められ、COX-2が各種癌遺伝子異常を受けて腫瘍浸潤機能分子の発現を誘導し、浸潤性獲得と助長に関与する可能性が考えられた。今後、浸潤・転移におけるこれら相互の役割、COX-2誘導因子の同定、COX-2 pathwayにおける関与についてさらに検討を進めたいと考えている。
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