2003 Fiscal Year Annual Research Report
口呼吸を行う小児における咀嚼・嚥下機能と呼吸の動態およびその協調
Project/Area Number |
15592153
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
穂積 由里子 東北大学, 歯学部附属病院, 助手 (60333829)
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Keywords | 口呼吸 / 摂食嚥下機能 / 呼吸動態 / 鼻呼吸障害 |
Research Abstract |
[目的]本研究の目的は、小児期における習慣性口呼吸が咀嚼・嚥下機能と姿勢に及ぼす影響を明らかにすることである。本年度は、口呼吸と咀嚼機能、姿勢との関係に関する基礎的データを把握するため、咀嚼機能および咀嚼と呼吸との機能的関係が確立している成人を対象として、人為的鼻閉による口呼吸状態が、咀嚼機能と姿勢に及ぼす影響を検討した。 [対象と方法]鼻呼吸障害および口腔習癖を有さない成人を被験者として、通常の鼻呼吸時(非鼻閉時)とノーズクリップを用いて人為的鼻閉状態(鼻閉時)にしたときの咀嚼・嚥下時(空嚥下、ヨーグルト、クッキー、ATP顆粒)の顎筋・頸筋活動と呼吸を記録した。筋電図は、習慣性咀嚼側の咬筋、舌骨上筋群、口輪筋のほかに、口呼吸者で特徴的な活動を示すとされる胸鎖乳突筋、僧帽筋から、表面電極を用いて双極導出した。呼吸動態の測定には、胸部に装着した呼吸ピックアップと鼻孔付近に装着した呼吸エアーフローセンサーを用いた。非鼻閉時、鼻閉時の(1)一口咀嚼時間(クッキー)、(2)咀嚼能率(ATP顆粒指サック法)、(3)筋活動、(4)呼吸動態についての比較を行った。 [結果]非鼻閉時と比較し、鼻閉時では以下のことが認められた。(1)一口咀嚼時間は延長した。(2)咀嚼効率には有意な差はなかった。(3)舌骨上筋群と口輪筋の活動量は増大傾向を示したが、胸鎖乳突筋および僧帽筋の活動量に明らかな差は見られなかった。咬筋の筋放電間隔の延長が認められた。(4)咀嚼中の不規則な呼吸が観察された。 以上から、人為的鼻閉状態は咀嚼・嚥下機能や呼吸に影響を与えることが示唆された。
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