2004 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼運動の最適制御バイオニクス:咬合状態・食品テクスチャー・反射制御
Project/Area Number |
15592156
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
久野 昌隆 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (80282763)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相馬 邦道 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (10014200)
村本 健 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (30345300)
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Keywords | 咀嚼運動 / バイオニクス / 食品テクスチャー / 咬合状 / 反射制御 |
Research Abstract |
本研究を遂行するにあたり、まず、平成15年度には、咀嚼により刻々と変化する各種食品のテクスチャープロファイルを経時的に実測し、材料力学的に定式化を行った。加えて、咀嚼運動の計測を行い、食塊の挙動に関連する顎運動の計測を行った。これらを生物工学として発展させるために、コンピュータを用いた計算力学的手法の一種である三次元有限要素解析によりシミュレートする方法を確立し、計測された食塊テクスチャープロファイルと顎運動データを基に、咀嚼運動を再現できる三次元有限要素モデルを作製した。 本年度は、正常咬合者および各種不正咬合者の咬合状態に着目し、テクスチャープロファイルの異なる各種食品の咀嚼を想定した圧刺激を加え、咀嚼筋群におけるモータユニットの発火頻度を測定した。食品テクスチャーと作製された三次元有限要素モデルを利用することにより、咀嚼中に変化する食品テクスチャーが咀嚼筋群の活動バランスを顎運動パターンに与える影響を明らかにした。これらの結果、口腔内における食品の挙動と、歯、歯根膜および顎骨にかかる応力の大きさ、方向との経時的関連性を明らかにすることができた。計算力学と生物学という異なる観点と手法を統合することにより、咀嚼に伴い性状を変化させる食塊からの歯根膜や筋紡錘に対する機械的刺激に影響されてコントロールされる顎運動パターンは、食塊性状を最も効率よく破壊するために制御されている可能性が示唆された。咀嚼機能障害に伴う不正咬合の発生や固有の顎運動パターン形成のメカニズムの手がかりが得られたとともに、これまで踏み込むことのできなかった、咀嚼運動の最適制御のメカニズムの一端を明らかにすることができた。
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Research Products
(4 results)