2003 Fiscal Year Annual Research Report
口蓋粘膜瘢痕組織形成過程を制御するシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
15592157
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
馬場 祥行 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助手 (70251535)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
一條 秀憲 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (00242206)
|
Keywords | 口蓋粘膜 / 瘢痕組織 / 器官培養 / alpha-smooth muscle actin |
Research Abstract |
本研究は、器官培養系を用いて、口蓋粘膜の創傷治癒モデルを確立する。瘢痕形成期に出現する筋線維芽細胞の細胞培養系は、従来当分野にて用いられてきたが、器官培養系を用いて、瘢痕形成に関わる因子を検索しようとする試みは皆無であった。口蓋粘膜瘢痕組織形成過程を制御するシグナル伝達機構の解析をおこなう前準備として、以下の検討を行った。 実験動物にはラットを用い、口蓋部の粘骨膜を剥離した後の形成過程の瘢痕組織、および正常口蓋粘膜組織を対照として、in vivoおよび器官培養系における瘢痕組織および筋線維芽細胞を観察した。 組織片は、培地と気相の界面にて培養、無血清のWaymouth's MB 752/1培地を用い、気相は、37度湿潤下、55%酸素/5%二酸化炭素とした。3日間の培養の後、培養組織片の状態を確認するために、組織学的観察およびBrdUの取り込みについて検討した。 器官培養後の口蓋粘膜瘢痕組織は、in vivoに類似して、細胞には分裂活性が認められ、基底膜の保存が確認された。また、培養組織中の筋線維芽細胞及び平滑筋細胞にはin vivoと同様にalpha-smooth muscle actinの発現を認めた。一方、対照の培養正常口蓋粘膜組織においては、血管の平滑筋細胞のみにalpha-smooth muscle actinの発現が認められ、その他の結合組織中には認めなかった。 以上の結果より、本実験系が確立すれば、口蓋粘膜瘢痕組織および筋線維芽細胞に関する、in vivoの実験にきわめて有用であることが示唆された。しかしながら、現在のところは、培養系の安定化及び長期の培養が困難であり、これらの点が、今後の課題となる。 従って、来年度は、器官培養系の至適化および安定化をはかるとともに、in vivoの系を用いた実験の並行についても検討する。
|