2003 Fiscal Year Annual Research Report
移植・再植後の歯髄再生過程における組織幹細胞の局在と細胞動態
Project/Area Number |
15592159
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大島 邦子 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80213693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 英光 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (70271210)
大島 勇人 新潟大学, 大学院・医歯学総合研究科, 教授 (70251824)
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Keywords | 組織幹細胞 / 歯髄 / 移植 / 再植 / 再生 / 発生 / BrdU / Ki67 |
Research Abstract |
実験材料として、歯の発生過程の検索では生後1-100日齢、再植実験には4週齢のラット上顎第1臼歯を用いた。発生過程においてHsp25発現とKi67発現との相関を検索したところ、Ki67陽性(活発に細胞分裂が起きている)部位ではHsp25陰性を示し、細胞分裂が終了すると(Ki67陰性)Hsp25陽性を示すことが明らかになった。また、歯髄間葉細胞が一過性にHsp25陽性を示した後に陰性になるのに対し、象牙芽細胞は一度Hsp25陽性を示すと分化の進行と共に強陽性を示すようになった.以上の様に、Hsp25発現は細胞の増殖から分化へのスイッチに重要な役割を演じていることが示唆された。 一方、再植実験における歯髄治癒過程には、歯髄腔に象牙質が形成される場合と骨様組織に置換される場合,または両者の混在型の3つのパターンが認められた。マイクロCTは、歯髄内に形成される象牙質と骨様組織を非破壊的に区別することができ、切片作製前のスクリーニングとして利用できることが明らかとなった。再植歯髄のHsp25発現をみると,血行の遮断により,象牙芽細胞は再植後1日でHsp発現を失うが、血行が回復する再植後5日までに,Hsp強陽性の細胞が歯髄・象牙質界面に配列し,その後多量の象牙質形成を認めた。さらに、免疫染色を浮遊切片で行うと再植後1日で象牙芽細胞のHsp発現が消失したのに対し、貼り付け法で行うと、血行が回復していない部位の変性象牙芽細胞層にHspタンパク質が局在することが明らかになった。以上より,Hsp25強陽性を示す象牙芽細胞の変性は、細胞外へのHsp25タンパク質の流出を引き起こし、迅速な炎症の惹起と再生象牙芽細胞の分化にHsp25タンパク質が重要な役割を果たすことが明らかになった。今後は、BrdU・Ki67二重染色による歯髄組織幹細胞の動態を検索し、歯髄再生メカニズムにおける組織幹細胞の役割を解明する予定である。
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Research Products
(1 results)