2005 Fiscal Year Annual Research Report
唾液アミラーゼ活性を用いた小児ストレス定量化の臨床応用
Project/Area Number |
15592160
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
佐野 富子 新潟大学, 医歯学総合病院, 助手 (40323977)
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Keywords | 唾液アミラーゼ活性 / 小児歯科 / 歯科治療 / ストレス / 歯科恐怖 |
Research Abstract |
小児における歯科受診時の心理状態をより客観的に評価する目的で、前年度に引き続き唾液アミラーゼ活性を経時的に測定した結果より、歯科受診が小児に与えるストレスを生化学的に評価し考察した。 定期診査のため新潟大学医歯学総合病院小児歯科診療室を受診した患児のうち、抜歯、歯の切削、およびフッ素塗布を行わなかった男児6名、女児7名、計13名(8〜11歳、平均年齢10.7歳)を対象とし、来院時、診療を終えてうがいした直後(以下診療直後とする)、診療15分後に吐唾法にて安静時唾液を採取した。診療時間、診療内容を記録し、診療後に歯科恐怖に関するアンケートCFSS-DSを行った。唾液試料は直ちに冷凍保存し、解凍後10000g、5分間遠心分離の後、G5-β-CNP基質法にてアミラーゼ活性を測定した。アミラーゼ活性の変動の大きさを表すには変動係数、比較には一元配置分散分析を用いた。 患児の平均診療時間は10.1±3.7分で、平均CFSS-DS値は22.6±11.37点と低値を示した。CFSS-DS値とアミラーゼ活性の変動係数の間に関連は認めなかった。唾液アミラーゼ活性の変化を診療前後で比較した場合、来院時と比較して、診療直後、診療15分後の方が有意に低値を示した(P<0.05)。 前年度の実験結果より、診療直後のアミラーゼ活性の低下はうがいによる影響と考えられ、来院時と診療15分後のアミラーゼ活性の変動は、患児の心理状態の変化を表していると考えられた。すなわち、定期診査で来院し、抜歯や歯の切削等の治療を受けなかった患児は、診療内容が予測できない来院時には少なからず不安や緊張を感じていたが、診療終了15分後にはこれらの精神的負担が取り除かれたものと思われた。小児歯科領域において、唾液アミラーゼ活性を用いて患児の心理状態を評価したのは今回が初めてであり、その有用性が示唆された。
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