2003 Fiscal Year Annual Research Report
幼若永久歯の骨性癒着が顎の発育に及ぼす影響(歯根膜コラーゲン線維の動態)
Project/Area Number |
15592176
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
白瀬 敏臣 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (20247018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小方 清和 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (90257006)
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Keywords | 骨性癒着 / 幼若永久歯 / 再植 / 歯根膜 / 萌出 / イヌ / 水酸化カルシウム / フッ素 |
Research Abstract |
幼若永久歯の骨性癒着が歯の萌出に及ぼす影響を明らかにする目的で、幼犬の上顎右側第一切歯・第二切歯を完全脱臼しフッ化物中に20分間浸漬後、抜髄・水酸化カルシウムを根管貼薬し再植することで実験的に骨性癒着を発症させた。臨床的評価として、ペリオテストを用いて動揺度を測定し、定期的に規格化エックス線写真を撮影し、反対側健全歯と比較検討した。 実験に先立ち、非脱灰切片による画像解析法を検討し、再植後に起こる歯周組織の変化を数値化し対比できることを報告した。また、歯根膜の機械的損傷のみによる萌出レベルの推移について規格化エックス線写真を用い評価し、短期9週症例では再植歯と対照歯間に統計学的有意差は認められなかったが、長期27週症例では低位化が認められたことを報告した。 フッ化物中浸漬後に再植した場合には、エックス写真上で骨性癒着が確認できたのは再植後6週目以降であった。再植歯の歯槽骨頂部の発育は対照歯にくらべ遅れていたが、骨性癒着の影響は正中口蓋縫合をはさみ反対側まで及ぶことは少なかった。再植歯の動揺度は、再植後3週目には術前の動揺度まで回復し、6週目以降は対照歯にくらべ小さくなり、打診により金属音が確認された。対照歯の動揺度は萌出に伴い経日的に少なくなり、生理的な範囲へ推移していった。 歯の萌出と歯槽骨の発育は密接に関連しており、歯と歯槽骨をつなぐ歯根膜がその重要な役割を果たしている。長期経過例では歯槽骨頂の発育の遅れだけでなく、メカニカルストレスに対しての適応性の消失から歯冠破折も認められた。発育期に生じる骨性癒着は、歯の正常な萌出や歯槽骨の発育を阻害することが示唆された。 今回は日本歯科大学実験動物施設修繕改築時期と合い重なり、動物(イヌ)の飼育を業者委託の形で行った。次年度は非脱灰切片を病理組織学的に画像解析するとともに、ラットを用いた同様な実験を行う予定である。
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Research Products
(2 results)