2003 Fiscal Year Annual Research Report
矯正治療に用いる骨形成因子複合化吸収性骨膜下インプラントの開発と臨床応用
Project/Area Number |
15592182
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
後藤 滋巳 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60142577)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮澤 健 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (60301636)
近藤 高正 愛知学院大学, 歯学部, 助教授 (70221249)
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Keywords | 矯正治療用固定源 / 骨膜下インプラント / 生体材料 / 骨形成因子 / ポリ乳酸 / 吸収性生体材料 |
Research Abstract |
吸収性ポリ乳酸(PMMA)を骨膜下インプラントとして応用し,さらに短期間で確実にかつ強固な骨性結合が得られ,骨表面に自由に固定源の部位を設定でき,加えて生体内で吸収され矯正治療後に撤去の必要がない歯科矯正治療専用の新しいインプラント開発を本研究の目的とした。 平成15年度の研究結果として,矯正用インプラント材料としてポリ乳酸を選択し,矯正治療応用への可能性について検討した.まず,現在ポリ乳酸が主成分であり,吸収性骨接合材として臨床応用されているスクリュータイプを用い,骨内に植立して矯正力に生体内で耐えうるか検討した. 12ヵ月齢のビーグル犬の第4小臼歯を抜歯後3ヵ月の治癒期間をおき,下顎骨第一大臼歯近心根根尖部に吸収性ポリ乳酸からなる吸収性骨接合材をねじ込み固定した.固定直後より第3小臼歯を遠心方向に牽引する100gfの超弾性スプリングによる矯正力を加え,歯の移動を含む,吸収性骨接合材の矯正治療への可能性について検討した.その結果,矯正力を加えた第三小臼歯は経時的に遠心に移動した.また,矯正力を付与した6ヵ月までにポリ乳酸製骨接合材が脱落したものは認められなかった.さらに組織学的検索から,吸収性インプラント材の周囲には炎症性細胞の浸潤を含む炎症性反応は認められなかった.これらの所見より,吸収性骨接合材が矯正治療のマテリアルとして使用可能であることが示唆された.現在,経時的変化における分子量の変化,強度の変化について検討中である。今後吸収性インプラントの分子量や吸収のコントロールを行い,矯正治療に適した分子量,性状の吸収性インプラント材を開発していく予定である. 尚,この結果は2004/03/12,IADR大会(ホノルル)において,題目「Absorbable implant used as orthodontic anchorage」で発表した.
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