2004 Fiscal Year Annual Research Report
心理テストを用いた歯科研修医の医療事故防止に関する研究
Project/Area Number |
15592207
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
清水 チエ 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20162703)
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Keywords | インシデント報告 / 医療事故防止 / 歯科研修医 / ストレス / リスクマネジメント / 心理テスト |
Research Abstract |
1.歯科臨床研修協力患者の心理テストの分析 平成18年度からの歯科医師臨床研修必修化に向け、臨床研修協力患者のストレス関連の特性を把握しておくことは今後の歯学教育を円滑に行う上で、さらに医療事故防止の点からも有効と考える。施行した心理テストは、SDS(自己評価式抑うつ性尺度)、SCL(ストレス度チェックリスト)、STCL(ストレス耐性度チェックリスト)、SRRS(社会再適応評価尺度)の4種類で、昨年度の報告をより詳細に分析した。その結果、SCLからはストレス度が正常および休養すれば問題ないとされる者が84%であり、専門医による診断・治療の必要性があると判断された者は全くいないことがわかった。SDSでは、正常から軽度抑うつ傾向ありとされた者は96.4%で、うつ傾向が中等度以上を示したものは3.6%であった。STCLではストレス耐性が弱いとされた者は1.8%、強いとされたものは94.6%であった。SRRSから150点以上300点未満の者、300点以上の者がそれぞれ5名いた。これらの者は循環器疾患やうつ病などのストレス関連病とのかかわりがある可能性が示唆された。SDSとSTCLの間に負の相関がみられた。本成果は、平成16年度第69回口腔病学会で発表した 2.研修医の医療事故に関する集計と歯科研修医の心理テストの関係 (1)事故の内訳は、治療終了後または根管治療中に気分が悪くなった例が4件、切削器具による口腔内の損傷が2件、切削器具による治療者の針刺しが2件、以下切削器具による治療者の指の切傷、根管洗浄後の疼痛と腫脹、アクリノールの衣類への付着、根面キャップの誤飲がそれぞれ1件であった。 (2)発生時間帯別の事故の頻度では、午後3時頃に多かった。(3)今年度も同一の研修医が2度医療事故を起こした事例があった。(4)ニアミス(ヒヤリ・ハッと)の経験は、約68%の研修医が経験ありと回答している。最も多いニアミスがタービン・バーによる損傷で13件、次にバーの着脱に関するもので10件、これらニアミスとMAS(顕在性不安)の間には相関が見られた。アクシデント(医療事故)の経験は、約20%の研修医が経験ありと答えている。事故の内訳は(1)に記した通りである。研修医の心理テストについては一部現在も分析中である。歯科研修医は、現在も臨床研修中のため、最終のデーターは3月末を待って集計報告する予定である。
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