2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15592221
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
井手 玲子 産業医科大学, 産業生態科学研究所, 助手 (70352325)
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Keywords | 口腔保健 / 質問紙調査 / QOL / 尺度 |
Research Abstract |
諸外国で頻用されている歯科保健関連QOL指標Oral Health Impact Profile(OHIP)の日本語版(OHIP-J)の妥当性について検討した。6079名の就業者の自記式質問紙調査と口腔内状況の記録から収集されたOHIP-J・口腔の主観的健康感・義歯装着状況・喪失歯数をデータとして用いた。線形回帰分析による調整されたOHIP-Jスコア値は、口腔の主観的健康感不良群が良好群より高い値を示した(46.6vs.27.6;p<0.001)。喪失歯数は、性、年齢、義歯装着と独立して統計学的に有意にOHIP-Jスコアと関連していた(p<0.001)。 OHIP-Jは49項目と質問項目が多く現場での活用が困難であるため、短縮版を作成することとした。20-59歳の8658名のデータを用いて行動計量学的手法(因子分析)により、青・壮年期を対象とした日本語版OHIPの短縮版(OHIP-JA18)を作成した。OHIP-JA18は18項目から構成され、4つの下位尺度(機能的な問題、痛み、不快感、困りごと&ハンディキャップ)からなる。各下位尺度のクロンバックのα係数は内的整合性が良好であることを示していた。共分散構造分析により、OHIP-JA18の概念モデルに適合することが検証された。さらに、上記のサブグループ(194名)のうち初年度と次年度に実施された2回の口腔保健指導を完了した129名(完了群)について、ベースラインと3年後のデータを用いて反応性を検討した。口腔の主観的健康観が改善した完了群で、OHIP-JA18はeffect sizeと対応のあるt検定ともに、OHIP-Jと既存の短縮版OHIP-J14より良好な反応性を示した。以上の結果より、作成した短縮版OHIP-JA18は日本の就業者(青・壮年期)に焦点をあてた歯科保健関連QOLの評価指標として活用可能であると考えられる。
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