2003 Fiscal Year Annual Research Report
体位変換時に生じる応力が褥瘡治癒過程に及ぼす影響―組織学的検討―
Project/Area Number |
15592226
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
須釜 淳子 金沢大学, 医学部, 助教授 (00203307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永川 宅和 金沢大学, 医学部, 教授 (50019600)
中谷 壽男 金沢大学, 医学部, 教授 (60198124)
真田 弘美 金沢大学, 医学部, 教授 (50143920)
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Keywords | 褥瘡 / ラットモデル / 病理組織学 |
Research Abstract |
今年度は対照群(垂直力のみ負荷)の組織学的検討を実施した。ラットをエーテル麻酔し体重計測を行った。次にペントバルビタールナトリウム0.08ml/100gを腹腔内投与し、麻酔下にて右側腹部を除毛した。その後、電気メスにて右側腹部に切開創を2本作成し、一側から他側に向けて金属板を挿入し、ラットと金属板を実験装置加圧部に固定した。 設定加圧力で設定圧持続間が終了後、切開創を縫合した。圧迫除去30分後、1日、3日、7日後の皮膚変化を色調と深さから評価した。深達度の判断はNPUAP分類に従った。病理組織学的検討に使用する組織は、採取後直ちに10%ホルマリン緩衝溶液で浸漬固定した。その後、常法に従い包埋後、5μm厚の切片を作成、脱パラフィン後HE染色を施した。 1.肉眼所見 圧迫除去30分後に圧迫部に一致した円形の暗赤色変化を生じ、1日目には白色へと変化した。3日目には白色部が一部褐色に変化し、圧迫除去7日目では痂皮形成や、すでに痂皮が脱落し表皮化がみられた。 2.組織学的所見 圧迫除去1日目、圧迫部の表層には好中球が浸潤し、痂皮が形成されている部分もあった。圧迫近接部や毛包が残存していた周囲から基底細胞が伸展している部分もあった。圧迫部の膠原線維は圧迫されていたものが復元したように、配列や太さは圧迫近接部と同じであった。圧迫と近接部網状層では溶血や出血像もみた。圧迫部では、皮筋より上の脂肪細胞はあまり存在しないが、皮筋下の脂肪層は浮腫により厚みを増し、好中球やリンパ球が多数存在していた。またうっ血を示す血管が散在し、出血像もみられた。この浮腫は圧迫近接部脂肪層にも及んでいた。筋層では、筋線維が細く、または壊死し、筋線維間隙は、好中球、リンパ球、マクロファジーが浸潤していた。うっ血を示す血管もみた。この反応は圧迫近接部にも及んでいた。
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