Research Abstract |
分娩第一期の一産婦を対象に足浴を行い,腹部の表面皮膚温と腰部の皮膚深部温,血圧および陣痛の回数について足浴による変化を観察した。その結果,腹部の表面皮膚温,腰部の皮膚深部温,血圧および陣痛の回数に変化は見られなかった。 また,乳房周辺の皮膚血流量の変化を観察することにより,経験的に行われている乳房マッサージの効果を高めることを期待した足浴の有用性を検証するために,20歳代(21〜27歳)の非妊婦女性6名を対象に,湯の温度42℃,足浴時間30分間,湯の深さ20cmで足浴を行い,胸部の皮膚深部温と皮膚血流量及び体温について足浴前,足浴中,足浴後において5分ごとの変化を観察した。また,平均動脈血圧,心拍数,一回心拍出量,毎分拍出量,総末梢血管抵抗について,足浴前,足浴中,足浴後に持続して測定した。その結果,胸部の皮膚深部温と皮膚血流量,血圧,心拍数,体温,及び平均動脈血圧,心拍数,一回心拍出量,毎分拍出量,総末梢血管抵抗のいずれも有意差は認められなかった。しかしながら,皮膚血流量を対象ごとに足浴前の25分間の平均をベースラインとして,足浴中および足浴後5分ごとの値をプロットすると,5名が足浴前に比べ足浴中に皮膚血流量の増加が見られた。とくに,そのうちの3名はベースラインより最大20〜30%の増加を示していた。しかし,1名だけはベースラインより足浴中に10%の減少が認められた。また,皮膚血流量が増加した3名についてみると,20分経過したころから皮膚血流量の増加が認められた。この結果は先行研究一致するものであった。なお,足浴によって胸部の皮膚血流量は足浴開始後20分経過したころから増加し,足浴中は20%前後の増加率を保つが,足浴が終了すると速やかに減少した。このことから,乳房マッサージにおける胸部の血液循環を期待した足浴では,20分以上足浴をすることが望ましいことが推測される。
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