2003 Fiscal Year Annual Research Report
日本文化における「安楽」、それに基づく看護実践における「安楽」に関する研究
Project/Area Number |
15592238
|
Research Institution | Seirei Christopher Junior College of Nursing |
Principal Investigator |
佐々木 百合子 聖隷クリストファー大学看護短期大学部, 専攻科・助産学特別専攻, 教授 (10320988)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 八重子 昭和大学, 藤が丘病院, 看護部長
見目 節子 つくば国際短期大学, 看護学科, 教授 (50310511)
山元 由美子 日本看護協会, 看護研修学校, 学校長
|
Keywords | 安楽 / 日本文化における安楽 / 安全の保障 / 自律への支援 / 日本文化に基づいた安楽の概念化 |
Research Abstract |
21世紀のわが国の実情は、病気や障害を持ちながら、その人らしく自律して生きる意義が問い直されている。特に地域でその人らしく生活してゆくためには、看護の視点から、「健康上、安全で自律した生活を保障できること」が対象の「安楽」につながると考えられる。しかし、わが国では、今日まで、看護実践の中で「安楽」の表現が多く使用されているにもかかわらず、その時の対象の状況や状態によって、使用されている定義が異なっていた。また、米国で、作成された「安楽」の理論枠組みのみで適用するには、日本文化固有の歴史や文化を加味する時無理が生じる。この人々の歴史的、文化的背景を無視して、対象に活用することは、本質的に、看護の質の向上に貢献できるものではない事が予測された。したがって、あらためて、わが国の看護実践の中から「日本文化における「安楽の概念化」それに基づく看護実践における「安楽」」の研究に着手した。 3カ年計画の1年目である2003年度は、(1)コルカバの文献をリサーチし、構成要素の再確認(2)国内の過去文献、実践報告の中から、「安楽」の定義のあいまいさを再確認(3)国内での、多方面における(対象を成人・老年・母性・小児などに拡大し)臨床実践者へのインタビューを行ない、そのテープを起こして、それを質的に分析することで「安楽」の概念化の試みを実施中である。(4)又、それと同時平行で、調査対象施設・対象者(看護師・助産師・保健師など)の開拓を行なってきた。 研究着手2年目の、2004年度は、「日本文化に基づいた安楽の概念」を明らかにする。さらにその概念に基づいて看護の本質である「安全」の保障と「自律」への支援の関連性を踏まえた「安楽」の概念化を図り、看護実践における質を測定する測定用具即ち尺度を開発する予定である。 3年目には、その測定用具の信頼性・妥当性を調査によって証明してゆきたいと考えている。又、この過程の中で得た、新たな知見などは、できるだけ関連学会発表や、論文発表によって、多くの看護関係者の評価や意見をいただき、わが国の歴史や文化に根ざした「安楽の保障」が、日常の看護活動の中で展開されることのできるものにしてゆきたい。
|