Research Abstract |
就寝前に想定される夜間の一定時刻に足浴を行うことを一定期間(7日間)実施し,その前後における免疫機能,自律神経機能の評価を行い,臨床の現場で直接的に役立つ技術を提供することを目的とした。 健康な女子5名(21〜34歳)を対象とし,被験者は,7日間,毎日20:30から10分間,温湯42℃の条件で足底部への刺激として気泡刺激と振動を加える足浴を実施した。自律神経系の評価は心拍変動の周波数解析を行い,免疫機能については,白血球分画,リンパ球サブセットをフローサイトメトリーにて解析し,またナチュラルキラー(NK)細胞の細胞障害活性を測定した。さらにヘルパーT細胞(Th)におけるTh1/Th2反応バランスについて検討するため,血漿中のTh1細胞産生サイトカイン(IL-2,IFN-γ,TNF-α),Th2細胞産生サイトカイン(IL-4,IL-6,IL-10)の測定を行った。 7日間の足浴を行うことにより,心拍変動の周波数解析においては,副交感神経系の指標であるHFCは足浴終了後に増加し,交感神経系の指標であるLFC/HFCは低下していた。白血球分画においては,交感神経系の支配を受けると考えられている好中球数と単球数が低下し,その影響を受けて総白血球数が低下していた。また,副交感神経系の支配を受けると考えられているリンパ球数は低下していたが,総白血球におけるパーセンテージは若干ではあるが増加していた。自律神経系と免疫系における変化において有意差は認められなかった。またNK細胞の細胞障害活性においては,足浴期間後において期間前と比較して,有意ではないが活性が増加していた。またTh1/Th2バランスを示すサイトカインについては足浴期間前後において,大きな変化を示すことはなく,概して低値を示していた。 一定期間(7日間),毎日,同時刻に足浴を実施することにより,リラクゼーション効果が得られ,自律神経機能においては副交感神経系が亢進し,このことによりNK細胞障害活性が増加し,免疫機能の高める傾向が得られた。
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