2003 Fiscal Year Annual Research Report
看護における患者情報共有のあり方:情報プライバシーの観点から
Project/Area Number |
15592243
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Research Institution | Nagano College of Nursing |
Principal Investigator |
太田 勝正 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (60194156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 正己 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (90295551)
山内 一史 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (20125967)
小西 恵美子 長野県看護大学, 看護学部, 教授 (70011054)
中村 恵 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (00363888)
唐澤 由美子 長野県看護大学, 看護学部, 助教授 (40277893)
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Keywords | 情報共有 / プライバシー / 患者情報 / 看護情報学 / 情報倫理 / 看護 / 個人情報 / 看護師 |
Research Abstract |
平成15年度は,入院時に収集される個人情報に対するプライバシー上の問題を患者がどうとらえているかの予備調査に基づく2つの調査を行った。1つ目は,情報共有および医療者としての守秘義務や患者のプライバシー保護に関する今後の情報倫理教育のあり方検討に資する基礎情報を得ることを目的とした全国の看護学生を対象とした臨地実習中の患者情報のメモの実態に関する調査であり,2つ目は,パイロットスタディとして,当初予定していた患者を対象とする半構成的面接調査の予定を変更して行った看護師100名を対象とする患者情報の共有実態についての調査である。前者の調査は,看護系大学79校,看護専門学校101校のそれぞれ4年生,3年生を対象とする質問紙調査として行い,1192人(回収率56%)から回答を得た。その結果,学生のメモには患者のフルネームが含まれる場合があること(62%),診断名や処置・治療内容等の医療情報はほぼ全員(99%)がメモしていること,それらメモ(メモ帳)は86%の学生が実習終了後も自分で保管していることなどが明らかになった。後者の調査では,1)患者自身は入院時の個人情報の収集に余り抵抗感を感じていないと言う予備調査の結果とは異なり,看護師の方は既往歴,家族構成などが患者のプライバシーに係わることであることを強く認識していること,2)チームナーシングによる看護体制にも係わらず,診断名,ウイルス性肝炎等の感染の有無については約8割以上が病棟の看護師全体と情報共有していること,3)個別ケアに係わるバイタルサインズ,排泄習慣などの情報は約6割がチーム内での共有に留めている様子,4)体温表(温度板)は他職種も日常的に見ているにもかかわらず,それを情報共有とは認識していない様子などが明らかになった。平成16年度は国際学会等での成果発表,対象を拡大した情報共有の実態についての調査を進める計画である。
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