2004 Fiscal Year Annual Research Report
看護における患者情報共有のあり方:情報プライバシーの観点から
Project/Area Number |
15592243
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
太田 勝正 名古屋大学, 医学部, 教授 (60194156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 一史 岩手県立大学, 看護学部, 教授 (20125967)
松田 正己 静岡県立大学, 看護学部, 教授 (90295551)
唐澤 由美子 長野県看護大学, 看護学部, 助教授 (40277893)
中村 恵 長野県看護大学, 看護学部, 助手 (00363888)
井口 弘子 名古屋大学, 医学部, 助手 (60345907)
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Keywords | 情報共有 / プライバシー / 患者情報 / 個人情報 / 情報倫理 / 看護 / 看護学生 / 看護師 |
Research Abstract |
平成16年度は,実習中に学生がどのように患者情報を取り扱っているかについてのパイロット調査(H15年実施)の結果をMEDINFO2004(サンフランシスコ)で発表するとともに、新たに看護職を対象とする患者情報のプライバシーの認識と共有の実態についての調査を実施した。さらに,「情報プライバシー検討会」を立ち上げ,イギリスの倫理学者を招いた勉強会を含め3回の会議を開催した。本年度実施した調査結果の概要を示す。対象は2県3施設(病床数300〜730で,3年前の類似調査の対象病院を含む)の看護師合計710名とし,倫理的配慮のもとで平成16年12月に実施した。全体で485件,68%の有効回答を得た。職位はスタッフが96%,管理職が4%であった。提示した15ないし16項目の個人情報の中で,患者にとってもっともプライバシーの程度が高いと認識された項目は,医療費支払い能力であり,また看護師自身にとっては世帯の総収入であり,どちらも経済的能力に関するものであった。逆にもっとも低かったのは,どちらもアレルギーの有無についての情報であった。患者にとってのプライバシーと看護師自身にとってのプライバシーを両者に共通する12の項目について比較した結果,診断名,既往歴,感染症の有無などを含むすべての項目で患者にとってのプライバシーがより高いと回答されていた。3年前に実施した同様の調査結果では,診断名など医療・看護に直接関係する情報は患者にとってのプライバシーの程度が低いと認識されていた。今回の調査結果は,個人情報保護法の施行に向けてさまざまな取り組み,研修などが実施されている対象病院において,医療・看護上の必要性があれば多少のプライバシーの問題は許されると考えがちであった看護師の患者情報のプライバシーに対する認識が厳しい方向に変化しており,情報共有についてより慎重な対応が求められる可能性が示唆された。
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