2005 Fiscal Year Annual Research Report
Time Trade-off法による糖尿病患者の健康状態の評価に関する臨床的研究
Project/Area Number |
15592262
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
足立 久子 岐阜大学, 医学部, 助教授 (00231936)
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Keywords | Time Trade-Off法 / 糖尿病患者 / SF-36 / 交換者 / 非交換者 |
Research Abstract |
癌及び精神的な障害のない総合病院に通院中の糖尿病患者にTime Trade-Off (TTO)法を用いて、2つの研究を行った。研究1では、非交換者の出現確率を上昇させる要因、研究2では交換者の出現確率を上昇させる要因を検討した。 研究1.85名の糖尿病患者に日本語版SF-36(ver.1.2)質問紙と半構成面接法によるTTO法を外来相談室で個別に施行した。次のような結果が得られた。(1)TTO法を施行した結果、余命は短くなるが健康な生存期間との交換を望む交換者は40名、現在の健康状態のまま今後も行きたいとする非交換者は45名であった。(2)年齢、性別、罹患期間、非インスリン療法、血糖値(HbAlc%)、SF-36の8下位尺度、身体的自覚症状がない、糖尿病や自己管理による日常生活に対するつらい思いがない、糖尿病の3大合併症(腎障害、眼障害、神経障害)がない、などのどのような要因が非交換者の出現確率を上昇させるのか、ロジスティック回帰分析を用いた結果、糖尿病の3大合併症(腎障害、眼障害、神経障害)がないは、非交換者の出現確率を大きく上昇させるものであった。 研究2.112名の糖尿病患者に質問紙法と半構成面接法によるTTO法を外来相談室で個別に施行した。2つの研究を行った。研究2aでは、これまでの研究結果から、交換、非交換の理由に関する14項目の質問紙を作成し、交換、非交換の理由は、どのような構造をしているのか探索的因子分析法(主因子法、バリマックス法)を用いて検討した。その結果、4因子が抽出された。第1因子は「病気のため活動の制限による孤独感」、第2因子は「病状悪化に起因する精神的負担」、第3因子は「病気に起因する可能性のない将来」、第4因子は「食事療法に起因する精神的負担」と命名した。各因子のクロンバッハのα係数は第1因子は0.75、第2因子は0.67、第3因子は0.65、第4因子は0.65であった。研究2bでは、交換、非交換理由の「病気のため活動の制限による孤独感」、「病状悪化に起因する精神的負担」、「病気に起因する可能性のない将来」、「食事療法に起因する精神的負担」の4因子、年齢、性別、罹患期間、インスリン療法、血糖値(HbAlc%)、SF-36の8下位尺度、身体的自覚症状がある、糖尿病や自己管理による日常生活に対するつらい思いがある、糖尿病の3大合併症(腎障害、眼障害、神経障害)がある、などのどのような要因が交換者の出現確率を上昇させるのか、ロジスティック回帰分析を用いた。その結果、(1)TTO法を施行した結果、交換者は42名、非交換者は70名であった。(2)身体的自覚症状があるは、交換者の出現確率を大きく上昇させるものであった。 研究1.と2.の結果から、なぜ、糖尿病の3大合併症(腎障害、眼障害、神経障害)がないは非交換者の出現確率を大きく上昇させるのか、身体的自覚症状があるは交換者の出現確率を大きく上昇させのか、今後検討する必要がある。
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