2003 Fiscal Year Annual Research Report
食道切除術を経験した食道がん患者の新たな嚥下方法獲得のプロセスを促進する看護介入
Project/Area Number |
15592268
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森 恵子 岡山大学, 医学部, 助手 (70325091)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楢本 良夫 岡山大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (00237190)
秋元 典子 岡山大学, 医学部, 教授 (90290478)
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Keywords | 食道癌 / 胸壁前皮下経路再建術 / 困難体験 / 内容分析 / 面接法 |
Research Abstract |
本年度は,食道がん術後患者がどのような困難体験をしているかを明らかにする目的で,胸壁前皮下経路での再建術を受けた食道がん患者6名(男性5名,女性1名)に,食道癌であることを告げられた時の気持ち,胸壁前皮下経路再建術の必要性について説明を受けたときの気持ち,術後の生活上の困難さ等について,11項目からなる半構成的質問紙を作成し,それを用いて自由回答法によるインタビューを実施した.面接時の対象者の会話を逐語的に記述したものをデータとし,内容分析の手法を用いて分析を実施した.その結果,胸壁前皮下経路再建で食道切除術を受けた食道がん患者が抱える困難体験は,【再建部膨隆に起因した差恥心がもたらす生活圏の狭小化】【予想をはるかに超えて苦痛と化してしまった摂食行動】【生きるために自分に見合った食べ方を体得する】の3つのカテゴリーが抽出された. 【再建部膨隆に起因した差恥心がもたらす生活圏の狭小化】は,食事摂取後に再建部が膨隆することに対する周囲の人の目が気になり,再建部の膨隆に対して毒恥心を感じ,人との接触を少なくしたり,家の中に閉じこもるなと,患者が手術前に持っていた生活圏が狭まってしまったことを表している. 【予想をはるかに超えて苦痛と化してしまった摂食行動】は,手術により食事摂取に多少の影響が出ると予測はしていたものの,1回摂取量の減少,食事摂取後の再建部のなでおろしの必要性,なでおろしても,摂取したものが下へおりていかない苦痛感などのために,食事摂取が苦痛と化してしまったことを表している. 【生きるために自分に見合った食べ方を体得する】は,食事が苦痛と化しても,患者は生きていくために,毎日の食事を通して,自分流の食べ方を見つけていることを表している.次年度は,対象者数を増やすとともに,胸壁前皮下経路以外の再建術を受けている患者の術後の困難体験について,インタビューを継続していく予定である.
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