2003 Fiscal Year Annual Research Report
精神科看護師のクリニカルジャッジメント-統合失調症患者の保護室退出欲求への対応に焦点を当てて-
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15592279
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
坂江 千寿子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (40325915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 寧子 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (10336430)
田崎 博一 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20179683)
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Keywords | 精神科看護師 / 保護室 / クリニカルジャッジメント / 隔離 |
Research Abstract |
本研究は、精神科に勤務する看護師が、保護室入室中の患者の要求に対して何を基準に判断し行動しているかを明らかにすることを目的にしている。平成15年度はその第一段階として、県内の公立と私立の2精神病院において看護師5名ずつを対象にフォーカスグループインタビューを実施し、保護室入室中の患者の要求に対する判断基準、対応方法等の意見を求めた。逐語録から保護室の患者への看護に関連するアイテムを全て抽出コード化し、意味単位毎のカテゴリーに分類し分析した。信頼性を高めるために複数の研究者で分類を検討し、再検査法を用いた。倫理的配慮:研究の趣旨と方法等を文書で説明し、承諾を得て内容を録音した。 255アイテムが抽出され、8カテゴリーに分類された。以下に、カテゴリー名:【サブカテゴリー名】の例を示す。回復過程のアセスメント:【対人関係の改善】(了解性、爆発性や拒否の減少、自己の感情や思考の表現)、【非言語的な変化】(表情・視線の柔らかさ等)、【生活リズム】(清潔面での向上、食事の摂取、スムーズな入眠、不眠を意識する)、【患者理解の視点】、【観察のタイミング】、【患者の欲求充足の心理】。要求へのかかわり:【要求への感情】、【退出要求への対応】。看護師の役割範囲:【医師への情報提供】、【隔離時の看護師の責任】、【時間開放の実施プロセス】。看護師の判断への影響要因:【保護室設置の病棟条件】、【退出への肯定的姿勢】、【看護師のネガティブな感情】、【患者-看護師関係(信頼)】。 これらの結果から、保護室入室中の患者にかかわる看護師は、言語的非言語的なサインを幅広くとらえる各自の視点を明確にもち、複数の情報を統合して、要求への判断や対応をしていることが推測された。平成16年度は、実際の場面の参与観察と看護師へのインタビューによって、患者の要求内容と看護師が対応する根拠となったジャッジメントの内容を明らかにしていく計画である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 坂江千寿子, 佐藤寧子, 石崎智子, 田崎博一: "保護室入室患者に関わる精神科看護師のクリニカルジャッジメント"日本看護研究学会雑誌 第30回学術集会. Vol.26,no.3(7月予定). (2004)
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[Publications] 坂江千寿子, 佐藤寧子, 石崎智子, 笹木弘美, 田崎博一: "保護室入室患者に対する精神科看護師のかかわりの検討"日本看護研究学会雑誌 第30回学術集会. Vol.26,no.3(7月予定). (2004)