2004 Fiscal Year Annual Research Report
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15592279
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Research Institution | Aomori University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
坂江 千寿子 青森県立保健大学, 健康科学部, 講師 (40325915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田崎 博一 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (20179683)
村松 仁 青森県立保健大学, 健康科学部, 助手 (50303433)
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Keywords | 精神科看護師 / 保護室 / クリニカルジャッジメント / 隔離 / 参加観察 |
Research Abstract |
本研究は、精神科に勤務する看護師が、保護室に入室している統合失調症患者が出した退出要求について何を判断し何を基準に行動しているかを明らかにすることを目的とした。 平成15年度はフォーカス・グループインタビューを実施し、平成16年度は、看護師の対応内容の参加観察とインタビューを実施した。収集された場面は68場面で、要求に対応する49場面をデータとした。第一段階として、49場面を全て分析し、総数152のコードを抽出した。何を判断しているかという視点で、類似するコードを分類した結果、20のサブカテゴリーと1.状態や回復レベルの判断、2.患者の感情の理解、3.ケアを選択する根拠、4.安全を守るケア、5.エンパワーメントを意識した働きかけ、6.相互作用を重視した働きかけ、7.看護師の抱く思いのカテゴリーが構成され、さらに『I.患者の変化と多様性の理解』、『II.ケア提供の根拠とケア』、『III.判断に影響する看護師の感情や人間関係』の3大カテゴリーに集約された。サブカテゴリー、カテゴリー間の関連を示して、患者の把握しケア提供の流れを把握した。 第2段階として、退出要求場面に限定した16場面での54のコードを再抽出し、全体の結果と比較した。その結果、カテゴリーに含まれたコード数の比較では、看護師の抱く思い(75%)と安全を守るケア(70.0)においてコード数の占める割合が高く、エンパワーメントを意識した働きかけ(13.0%)、コミュニケーション方法の選択(10.0%)で減少していた。これらの結果から、退出を要求する患者の疎通性の問題や病的症状は他の要求場面での対応とは差があることが明らかになった。また、判断の基準として、入院時または前回担当時の状態、あるいは同じ症状がある他の患者を想定し基準化して比較しながら、看護師は悪化および回復の兆候をとらえていた。さらに、拘禁反応の予測、刺激を避ける、家族との関係破談防止、危険防止等を念頭に、相互作用を重視して判断していることが示唆された。
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Research Products
(2 results)