2006 Fiscal Year Annual Research Report
乳幼児期の親子関係に関する研究〜子どもの発達と家族機能の関係〜
Project/Area Number |
15592304
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
山口 求 広島国際大学, 看護学部, 教授 (90290387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 公子 広島国際大学, 看護学部, 教授 (40212766)
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Keywords | 乳幼児の発達 / 家族機能(FFFS) / 母親の養育態度 / 3歳児の心の発達 / 子どもの行動 |
Research Abstract |
本研究は、3歳児健康診査(以下健診とする)の調査による心の発達と母親の養育態度との関係を明らかにし、子どもの発達の教育的示唆と母親への支援とすることを目的とした研究の結果である。その結果、重相関係数では、F1「認知」F2「運動」F3「社会性」F4「生活自立」の発達に対して有意(p<.05〜.001)であった。そこで、標準偏回帰係数から以下の3点の結果が得られた。1)母親の「受容的な養育態度」は、3歳児の「認知」「運動」「社会性」の発達に正の有意(p<.01〜.001)な関係を示し、母親が受容的な態度で子どもに関わるほど子どもの「認知」「運動」「社会性」の発達が促進されることが明らかになった。2)母親の「生活規則的な養育態度」は、3歳児の「認知」「社会性」の発達に正の有意(p<.05〜.01)な関係を示し、生活習慣が規則的であれば、子どもの「認知」「社会性」の発達が促進されることが明らかになった。3)母親の「過保護な養育態度」は、3歳児の「認知」「運動」「生活自立」の発達に正の低い有意(p<.05)な関係を示した。結論として、3歳児の心の発達は、母親の養育態度に関係があることを明らかにした。特に母親の受容的な養育態度は、3歳児の認知、運動、社会性の発達を促すことが明らかになった。 幼児の発達と家族機能との関係に関する研究では、幼児をもつ母親の養育態度が家族機能の何によって影響を受けているのか、また養育態度を支える家族機能を高めるには、どのような支援が必要なのかを検討することを目的として調査を行った。研究に同意の得られた112家族224人を分析対象とした。家族機能の調査は、FFFS日本語版1を使用した。重回帰分析の結果、以下の点が明らかになった。 1)「配偶者との相互関係」は、「規則的生活」の養育態度に正の有意な関係を示し、夫婦関係が良好なほど、規則的な生活を維持する養育態度になることが明らかになった。2)「知人との関係」は、「受容的」と「自立・尊重的養育態度」に対して、正の有意な関係を示し、知人との関係が良好なほど、母親は子どもに対して肯定的な養育態度になることが明らかになった。3)「仕事以外の自分の時間」は、「干渉・拒否的養育態度」、「受容的養育態度」、「矛盾的養育態度」、「自立・尊重的養育態度」に対して、正の有意な関係を示した。母親の自分の時間のゆとりは、受容的な養育態度となる。逆に時間にゆとりのない養育態度は、干渉的や拒否的になることが示された。4)「社会的イベント」は、「干渉・拒否的養育態度」、「受容的養育態度」、「矛盾的養育態度」、「自立・尊重的養育態度」に対して、負の有意な関係を示した。母親の社会的な活動が増えるほど、子育てに対してマイナスな要因として働くことが明らかになった。これらの結果は、子育て支援に有用であることが示唆されたことを報告した。日本家族看護学会の編集委員会で、家族看護学研究誌に投稿の推薦があり、現在投稿のための論文を作成中である。
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Research Products
(2 results)