2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15592308
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荻野 雅 千葉大学, 看護学部, 講師 (60257269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 弥生 千葉大学, 看護学部, 教授 (60232667)
野崎 章子 千葉大学, 看護学部, 助手 (90361419)
松岡 純子 千葉大学, 看護学部, 助手 (40375621)
水信 早紀子 千葉大学, 看護学部, 助手 (50375622)
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Keywords | 精神科看護 / 看護倫理 / 教育プログラム |
Research Abstract |
本研究は、精神科看護の質の向上を目指し、多くの倫理的問題を抱える精神医療の現場で患者に一番身近に接する看護師の倫理観を明らかにすることにより、現在の精神医療での倫理的実態を明らかにし、現実的、効果的な精神科看護倫理教育を開発することが目的である。本年度は昨年度行った聞き取り調査の分析をさらに進め、その結果をもとに精神科看護師の倫理観に関する質問紙を作成し全国調査を行った。 昨年の聞き取り調査で対象者が語った72場面の看護上のジレンマの中で、対立している価値観と倫理的葛藤が生じるパターンが同定された。この結果から精神科看護場面で生じるジレンマ状況を事例として再構成し(3事例)、判断根拠となる価値観(49項目)と解決を目指す行動(11項目)から構成される質問紙を作成した。各項目には5段階のリッカート尺度を付した。質問紙は精神科看護師3名と精神看護学教員1名により内容妥当陸が検討された。質問紙の事例は、拘束をめぐる「医療者としての患者の利益を最大限に考え行う医療行為(善行の原則)」と「患者の自立・自律の尊重(自律の原則)」の対立の事例、身体合併症患者の食事制限をめぐる同様の対立の事例、そして退院をめぐる家族と患者の利益の対立の事例の3つである。 全国調査は郵送にて行った。日本にある病院のうち精神科病床を200床以上有する病院で、都道府県別による層化単純無作為抽出法にて408施設を選出し研究協力をお願いした。対象者数は母集団における比率50%危険水準5%で、誤差の範囲を5%以内、返送率30%と見込んで決定した。対象者は協力依頼施設に3年以上勤務している看護師あるいは准看護師とし1施設3〜5名の協力をお願いした。また倫理的配慮として個人や施設、地域などが特定できないよう無記名とし、また対象者が個別に返送できるよう返送用封筒を準備した。 回答は355(返送率17.4%)あり(2月末現在)、現在、集計・分析を行っている。一次集計では3事例ともジレンマを感じないとの回答が80%以上にものぼった。拘束の問題を取り上げた事例では「患者の立場に自分を置き換えれば拘束されるということはとてもつらいことでありはずしてあげたい」との項目に対し「そう思う」「かなりそう思う」との回答が80%をしめた。身体合併症患者への食事制限の事例では「患者の健康を守ることは医療者としての使命であり、患者の身体管理・食事管理をすることが必要である」と思うとの回答が86%にも上った。退院をめぐる事例では「患者、家族が折り合いをつけることが大事である」と思うとの回答が83%をしめた。今後この分析を進めこの結果を元に精神看護学看護倫理教育プログラムを開発する予定である。
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