2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
15592308
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
荻野 雅 千葉大学, 看護学部, 講師 (60257269)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩崎 弥生 千葉大学, 看護学部, 教授 (60232667)
野崎 章子 千葉大学, 看護学部, 助手 (90361419)
松岡 純子 千葉大学, 看護学部, 助手 (40375621)
水信 早紀子 千葉大学, 看護学部, 助手 (50375622)
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Keywords | 精神科看護 / 看護倫理 / 教育プログラム |
Research Abstract |
全国の精神科看護師を対象とした倫理的ジレンマについての調査の結果、精神科看護師の倫理的感受性が低いことが明らかとなった。その要因として、看護師のパタン認識、組織の風土、ジレンマ状況を解決する方法の少なさなどが考えられた。特に看護師個人が持っている、対立を避け人々の和を大事にすべきという価値観や、患者の思いを察し患者に代わり最善の選択を医療者が行うべきだとする考え方が、倫理的感受性を低め、倫理的問題の解決を妨げていることがうかがえた。 全国調査の結果をもとに、精神科看護師の倫理的実践能力を高めるよう、看護師個人が直面しているジレンマ状況を他施設の人々とグループワークという方法で検討し、さらに看護師個人が持っている自分の価値観に気づくことを目指したプログラムを開発した。 開発したプログラムは、フォローアップを含み全5回であり、平成17年12月〜平成18年2月にわたり2グループ、計6名の参加者に実施した。プログラム前後の参加者たちの倫理的問題解決能力の比較の結果、以下のような結論が得られた。まず、自ら体験した倫理的ジレンマ場面を検討することは解決をしたいという動悸を高め、有効であった。またさまざまな施設に勤務する看護師が参加することは、自分が所属する施設の価値観に気づき、幅広い視点から検討することができるので有効であった。しかしグループワークの中で自己の価値観に気づくことは難しかった。ジレンマ状況の分析は、事例提供者が同一化する人物の立場から分析される傾向があり、さまざまな人々の価値観を分析することが困難であった。教育プログラムの中で自己の価値観に気づくことができるような、感性を高めるプログラムを導入することが必要であり、また、自己の考えや価値観を安心して話すことができるよう、プログラムファシリテーターは配慮する必要があった。自己の価値観や、看護を行う上でその参加者が大事だと思っている価値観を否定するのではなく、その価値観により生じている問題に焦点を当てるよう、ファシリテートする必要があった。 今後、このプログラムを改善しさらに実施していくことで、精神科看護師の倫理観を育成し、それにより精神科医療における倫理的看護実践が可能になると思われる。
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Research Products
(2 results)