2004 Fiscal Year Annual Research Report
痴呆性高齢者のセルフケア及びコミュニケーション能力を高める看護プログラムの開発
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15592311
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
別所 遊子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (20190176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 隆司 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教授 (70337989)
渡部 月子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 講師 (20249064)
片平 伸子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (10381675)
川崎 真希 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助手 (20381676)
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Keywords | 認知症高齢者 / 看護 / 食事行動 / セルフケア / 言語誘導 / 視覚誘導 / 触覚誘導 / 単純化 |
Research Abstract |
【目的】痴呆症(認知症)高齢者の潜在能力を活性化する看護ケアの方法を明らかにすることを目的とした2年目の研究として,本年度は実際の食事介助場面を観察し,認知症をもつ高齢者の食事行動の援助に関わる援助を系統的に示すことを目的とした。 【方法】Y市内の介護老人保健施設痴呆棟に入所中で,食事に何らかの介助が必要な20名を観察対象とした。対象の属性は,女性17名,平均年齢86.4歳,アルツハイマー型痴呆が35%,HDS-Rは10点以下が80%であった。先行研究から食事行動要素を,開始・食物および道具の操作・咀嚼と嚥下・食事行為の持続・終了の5つとし,それぞれについて介助内容を(1)言語誘導(2)視覚誘導(3)触覚誘導(5)環境整備の5つのカテゴリーに分けて観察の枠組とし,研究者5人が実際の食事(昼食)の介助場面を観察して記録した。研究者の討議により,介助内容をカテゴリー化した。信頼性を高めるために,施設職員に意見を求め,修正を加えた。 【結果】言語誘導では,予告・動作の促し・妨げの排除・強化励ましの4種の援助が,また視覚誘導では,現物提示・モデル提示・表情による強化の3種の援助が,触覚誘導では,触れる・握らせる・身体ガイドの3種の援助が行われていた。環境整備では,食物の調整・食器の単純化・食器配置の調整・その他がみられた。これらは,「認知し易い状況を設定し,知覚刺激により,手続き記憶に基づく自動的な反応を誘発すること」という援助にまとめられると考えられた。また,時間要素を考慮すると,食事介助は,「構えや導入により動作ができる限りは見守る」というサイクルをくりかえし,自力摂取が困難になった時点でスプーン介助に移行するという援助が行われていた。 【結論】認知症の食事介助において,様々な援助が行われていた。このような技術をわかりやすく提示することによって,適切な看護の提供機会が増えるだろう。
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