2003 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の心理社会的発達を促す「自分史」活用の効果の検討 ―健康教室参加者にグループアプローチを用いた「自分史プログラム」の検証―
Project/Area Number |
15592335
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
沼本 教子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00198558)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
泉 キヨ子 金沢大学, 医学部保険学科, 教授 (20115207)
浅井 さおり 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (20326317)
原 祥子 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (90290494)
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Keywords | 高齢者 / 心理社会的発達 / 自分史 / 老年看護 / グループアプローチ / 人生移行 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者が健康教室参加者と共に「自分史」を記述することによって、どのような心理社会的発達を経験していくのかを明らかにし、老年期における心理的健康を維持していくための看護援助として、「自分史を書くこと」とその過程を高齢者間で共有することの意義および可能性について検討することを目的として研究を行っている。 【研究経過および研究成果等】 本研究は3年度計画で行う予定であるが、初年度の平成15年度においては、神戸市周辺、金沢市内で生涯教育を目的にした高齢者教育施設、健康教室の参加者のうち、言語的コミュニケーションと作文能力をもち、研究目的に同意した65歳以上の高齢者に研究参加を依頼した。神戸市周辺で5名、金沢市内で5名の研究協力を得ることができた。平成15年度前半は金沢グループで月1回のプログラムを合計7回、年度後半に神戸市周辺グループのプログラムを6回開催し、自分史を書き進める過程を終了した。介入方法として『自分史を書くプログラム』を設定し、(1)人生を振り返ること・自分史を書くこと意義についての学習(講演会)(2)"私の人生"を「テーマ」設定して語るグループセッションの開催(月1回・1回90分程度・合計5回予定)(3)グループセッションにあわせて、1ヶ月の単位に区切り自分のペースで「自分史」を書きつないでいく。(4)要望があれば、自分史の内容に対するコメントや添削に応じる。(5)自分史を書いていく上での困難や書き方の相談に応じることを各グループに展開した。現在、参加者のうち9名それぞれの「自分史」の編集、製本作業、発送作業を行っている段階である。 今後の年度では、プログラム開始前後の評価方法として、グループセッションで話される内容の質的分析、「自分史」の内容の分析、心理社会的発達の変化について(1)日本語版E.エリクソン発達課題達成尺度(下仲ら,2000)(2)PGCモラールスケール改訂版(ロートン,1975)(3)GHQ28(精神健康調査票(ゴールドバーグ)の測定尺度を用い、事前事後の客観的評価を行い介入の効果を検証する予定である。
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