2003 Fiscal Year Annual Research Report
介護老人保健施設利用者に対する口述ライフストーリーアプローチについての実証的研究
Project/Area Number |
15592336
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Research Institution | Kobe City College of Nursing |
Principal Investigator |
原 祥子 神戸市看護大学, 看護学部, 講師 (90290494)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 光美 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (20364052)
沼本 教子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (00198558)
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Keywords | ライフストーリー / 高齢者 / 語り / 生涯発達 / 介護老人保健施設 / 老年看護 |
Research Abstract |
本研究は,介護老人保健施設を利用する高齢者が,自らのライフストーリーを他者に語ることを通してどのように自己を建て直していくのか,また残された人生にどのように意味づけをしていくのかを明らかにし,高齢者の生涯発達を支援する看護ケアプログラムとしての口述ライフストーリーアプローチの可能性について検討することを目的としている。研究経過および成果は以下のとおりである。 神戸市内のある介護老人保健施設利用者11名を対象として,口述ライフストーリーアプローチを実施した。将来的には現場のケアスタッフが実施する可能性を勘案し,平成15年度は介入者を当該施設のスタッフとした。また,ライフストーリーの具体的な分析視点とスタッフが聴きとることの意義を検討するために,スタッフ自身がライフストーリーをどのように読み解き・高齢者を理解していくのかを明らかにする必要があると考え,アプローチ後にスタッフに対して高齢者理解のあり方や関係性の変化等に関するインタビューを追加実施した。 その結果,11ペア中1ペアはスタッフの体調不良と高齢者の退所のためにリタイアしたが,10ペアが3〜5回の面接を終了あるいは継続中である。現在,すでにアプローチを終了した3ペアについて,アプローチ後のスタッフに対するインタビュー・データの分析途中であるが,ライフストリーを聴くことによってスタッフには,(1)ケア提供者としての責任感の向上,(2)その人の自立と依存の境界がわかる,(3)その人をもっと知りたいという関心が増す,(4)自信をもったケアにつながる,(5)お互いが特別な人になる,等の変化がみられた。平成16年度には別施設で研究者が介入することによって事例を蓄積し,15年度の成果をもとに個別的な口述ライフストーリーの質的・量的内容分析および高齢者に対するアプローチ前後の客観的評価についての分析を行う予定である。
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