2004 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者のQOLと生命予後からみた看護援助に関する研究
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15592338
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Research Institution | Osaka Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
中村 裕美子 公立大学法人大阪府立大学, 看護学部, 教授 (10299266)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿曽 洋子 大阪大学, 大学院・医学系研究科・保健学専攻, 教授 (80127175)
大瀧 貴子 公立大学法人大阪府立大学, 看護学部, 助手 (40382238)
吉原 彩 公立大学法人大阪府立大学, 看護学部, 助手 (50382239)
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Keywords | 要介護高齢者 / QOL / 生存分析 / ADL |
Research Abstract |
(1)大阪府下のY市において、平成12年度より年1回、12月に調査時点を設け、対象の継続事例と該当年の新規事例に対して、調査票により留め置き調査を郵送にて実施。調査対象者は、Y市高齢クラブの会員のうち、要介護状態にある者。調査対象者の選定:高齢者クラブの役員が寝たきり老人見舞金申請者名簿より選定。 (2)調査内容:要介護高齢者の療養状況、ADL、認知障害、QOL(WHOのQOL26にて測定)、介護保険の利用状況、介護者の状況 (3)倫理的配慮:調査は追跡調査を行なうため、氏名、年齢、所属高齢者クラブ名を調査票に記入しているが、調査時には、個別封筒に入れて配布、および回収を行なった。調査の対象者、家族に対して調査目的、方法、データの管理について文書にて説明し、了承された場合に回答を求めた。また、調査データは、すべてIDコードにより管理し、個人が特定されないように管理した。 (5)調査結果 平成15年度:回収数:270人、継続事例180人、死亡53人、その他回答不備37人。平成16年度:回収数:239人、継続:事例190人、死亡42人、その他回答不備17人。平成12年度の対象者及び平成13年度、14年度の新規事例の442人をコーホートに設定し、平成16年までの追跡調査期間中に1年以上継続して追跡できた393人について、QOLの状況の変化および生存分析を行なった。 2.要介護高齢者のQOLは、調査開始時と終了時では有意な差が見られなかった。終了時のQOLが測定できた177人について関連する要因を検討した結果、QOLの変化は、性別(男)、療養場所(入院)、介護者(配偶者・子ども)、最終歩行状態(全介助)、歩行状態の変化(悪化)、最終食事状態(全介助)、食事状態の変化(悪化)、入浴状態の変化(悪化)でQOLが低くなり、有意な差が認められた。要介護高齢者の生存分析の結果からみた生存に関連する要因としては、性別(男)、年齢(80歳以上)、初回・最終療養場所(入院)、主疾患(老衰)、ADLの初回排泄、食事、更衣状態、意思疎通、QOL変化(悪化)で生存期間が短く、本人の自立意欲、運動、生活のメリハリ、会話交流あり、介護の留意点、訪問介護、通所介護、ショートステイの利用では生存期間が長くなっていた。以上から看護援助にはADLの維持と日常生活の活性化、サービスの利用を考慮する必要があることが示唆された。
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