2003 Fiscal Year Annual Research Report
都市部と中山間地域における家族ケアコンサルテーションの比較研究
Project/Area Number |
15592344
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
原 礼子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (50189693)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根岸 由美子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 助手 (10338197)
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Keywords | 訪問看護師 / 介護支援専門員 / 家族アセスメント / 家族観 / 家族関係 / 調整能力 |
Research Abstract |
今年度の研究目標は、家族ケアに関して看護職が直面している困難や欲しいサポートなどに関する実態把握と基礎資料の作成である。平成12年に始まった介護保険制度の見直しも行われているが、訪問看護ステーションに勤務する看護師は、訪問看護サービスを提供する訪問看護師と介護支援専門員と機能するという2つの役割を有している。聞き取り対象者は、訪問看護ステーション常勤訪問看護師5名で、全員が介護支援専門員の資格を有していた。5名のうち3名は訪問看護ステーションの管理者であり、スタッフの指導や教育の役割も担う立場にいる。訪問看護師の聞取り調査から、家族ケアに関して遭遇している困難状況は、訪問看護師として具体的なケアを提供する上で対応が難しいと感じている場合と介護支援専門員としてケアプラン作成のうえで、利用者と家族、他職種のサービス提供者との調整の中で困難を感じていることがわかった。彼女らが家族について対応が難しいと感じている事柄はまとめると、(1)利用者本人と主たる家族介護者の関係性(2)訪問看護師が抱く家族介護者像からかけ離れた家族のあり方(3)介護支援専門員として利用者・家族と他職種との関係調整の難しさであった。欲しい支援と考えていることは、具体的な家族への働きかけの技術(家族アセス能力、家族関係調整の能力等)の習得である。聞き取り対象とした訪問看護師は40代後半で自らも家族員と毎日の生活を送っており、長年培われた家族観を有している。したがって、職務上家族に対応する場合には、自らの家族観にとらわれる傾向が否めない。また、看護職として利用者中心にケアプランを作成する上で家族は利用者の資源としてとられる傾向がある。このような実態から、訪問看護師が有する看護観や家族アセスメント能力等について、さらに精査し支援の方策を検討していくことが次年度の課題といえる。
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