2005 Fiscal Year Annual Research Report
都市部と中山間地域における家族ケアコンサルテーションの比較研究
Project/Area Number |
15592344
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Research Institution | KEIO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
原 礼子 慶應義塾大学, 看護医療学部, 教授 (50189693)
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Keywords | コンサルテーション / 家族看護 / 事例検討 / ナラティブ |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続きコンサルテーションを実施した。コンサルテーションは、研究者主催の家族ケア事例研究会、3施設における事例検討会を通して実施した。分析対象事例数は25事例である。多くの看護職は、事例検討会参加の初期には、介入の仕方の要求が強かった。しかし、参加回数が増えるに従って、家族看護の知識が必要なこと、そのためには、家族に関する情報を系統的に関わりの早期から意図的に収集することが必要なことを理解してくる。病院は早期退院が余儀なくされているので、在宅ケアで利用できる社会資源についての知識の必要性、医師との提携の重要性も再認識している。訪問看護ステーションでは、利用者へのケアで訪問時間が制限されていること、また日中独居の利用者も多く、基本的な家族に関する情報が不足するため、的確な情報収集の仕方に苦慮している現状もある。しかしながら、事例提供を担当してコンサルテーションを受けることで、短時間での情報収集のポイントを理解し実践していくことができている。家族ケアに関するコンサルテーションのポイントは、コンサルティが家族の行動の背景を知ることが重要であり、家族の思いは家族の長い歴史の中での患者と家族関係で培われてきていることに気づいてもらうことであった。しかし、中心となる人の継続的研究会への参加が不可能となり実施できなかった。スタッフによる撮影は、コンサルタント不在では、仲間内で適切に事例検討を進められないこと、ビデオに撮られるということ自体の心理的抵抗により実現できなかった。コンサルタント研究者いてダイナミックにおこなわれる事例検討で、これまでの看護のあり方を振返り、自分自身の言動の傾向を認識するに至っている。このことは、家族ケアの知識や技術を習得すると同時に対面で語り合う(ナラティブ)ことが求められており、家族ケア事例検討を継続していくことの重要性を示しているといえる。
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