Research Abstract |
本年度は,根圏部での水移動の検討のために,以下を行った. 1)樹木の周辺部分での地上到達水量の分布と樹冠の影響の把握 2)樹木の周辺部分での表層土壊水分量の分布と変動の解析,及び浸透水量分布の検討 1)について 樹木の周辺部分の地上に20個程度のメッシュを作り,そこでの樹冠通過雨量,および樹幹流量の総量及び時間変化を観測した.あわせて,樹冠の枝・葉の地上への鉛直投影面積も計測した.観測は,針葉樹,広葉樹,それぞれについて行い,広葉樹では落葉の前後の比較も行った.その結果,30mm程度までの降雨では20%程度が樹冠遮断量となりこの量は針葉樹で幾分大きいこと,広葉樹では樹冠遮断量への枝・葉の投影面積率の影響が大きいこと,樹冠遮断量に影響を与える気象要因としては気温が重要であること,広葉樹では,樹冠通過雨量の空間分布に対し降雨量,樹幹からの距離,枝・葉の投影面積率の影響が大きいこと,広葉樹では,落葉により樹幹流量の降雨量に対する比率が大きくなり,枝・葉の投影面積率が小さいほどこの比率が大きくなることなどを示した. 2)について 樹木の周辺部分の地上に24個のメッシュを作り,研究費で購入したTDR水分計により,降雨期間中,及びその直後での表層土壌水分量を観測した.また,降雨直後は蒸発散の影響は少ないと仮定して,表層土壌水分量の時間変化から浸透水量を推定した.その結果,幹に近く根の密度が高いと考えられる部分で浸透による水分減少が少ないこと,降雨後半日程度で浸透による水分減少はなくなり,その後は蒸発散の影響で8:00-14:30での水分減少が大きいこと,同じ場所でも体積含水率とその時間変化率との関係にはばらつきがあることなどを示した. 本年度の研究で,根圏上部での水の量の分布とその変化の概要が把握できたので,今後,溶質移動,根圏深部での移動を検討し,モデル化を行う予定である.
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