2004 Fiscal Year Annual Research Report
NPOの人材養成と地域社会における活用システムに関する研究
Project/Area Number |
15601001
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 一子 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (60114211)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 満 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (70171527)
田中 雅文 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (10217078)
辻 浩 日本社会事業大学, 社会福祉学部, 教授 (00227399)
朝岡 幸彦 東京農工大学, 農学部, 助教授 (60201886)
岡 幸江 埼玉大学, 教育学部, 助教授 (50294856)
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Keywords | NPO / 教育力 / 人材養成 / 職業教育 / 生涯学習 / キャリア開発 / パートナーシップ / リーダー |
Research Abstract |
本研究では、NPOと公教育制度の関係性をふまえた従来の制度的アプローチをふまえつつも、NPO自体を社会的・経済的に自立的なセクターとしてとらえ、そこでの担い手・人の問題を、雇用・労働・人材の社会的活用という観点から検討した。 NPOがどのような「人」を育てる力をもつのか、どのような能力を発揮しながら、「仕事」としてNPOに参加しているのか、そのことは、地域社会の経済・人材活用としてどのような意義をもつのか、などの点をめぐって、5つの部構成をとり、26のNPOの訪問調査をもとに実証的に考察をおこなった。 第1部では、地域社会の再生・自治振興とのかかわりでNPOの学習機能の活力が求められていることを農山村地域づくり活動をつうじて検証している。地域自治システムの構築とNPOの密接な連携、地域プラットフォームを通した人材養成、コミュニティ・ビジネスをつうじての雇用・地域活性化の手法など、新たな人づくりの過程が明らかにされている。 第2部では青年の自立支援に注目し、支援と学習をつうじての新しい専門性の形成、ひきこもり・就労支援におけるソーシャル・スキル形成の課題を考察した。 第3部では、NPOのスタッフ養成を資格・専門性の視点から検証した。対人援助職としての活動の発展を支える専門性の形成、環境NPOにおける専門性、そして資格付与自体を目的とするNPOの発展などを通して、NPOのスタッフ養成の過程を職業教育の側面からとらえ、課題を提示した。 第4部ではこれらを受けて、地域・自治体とNPO、社会教育行政とNPO、非営利団体としてのNPOの事業性を視点としながら「教育力」の可能性について理論的課題を深めた。 第5部では、ドイツのNPOの活動をつうじて、社会的労働としての社会にかかわる労働の認識を掘り下げた。 以上、本研究では、地域・青年・専門性という視点からNPOの人材養成機能を「教育力」としてとらえ、実証的な検討をつうじて、NPOが専門的人材、社会的自立支援、地域再生の労働の担い手を形成する重要な主体であることを明らかにすることができた。
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Research Products
(7 results)