2003 Fiscal Year Annual Research Report
NPOとの協働関係下における自治体行政の評価に関する研究
Project/Area Number |
15601009
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
金川 幸司 福岡工業大学, 社会環境学部, 助教授 (00341470)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田尾 雅夫 京都大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40094403)
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Keywords | アカウンタビリティ / 評価 / 市民参加 / ローカルガバナンス / 補助 / 委託 |
Research Abstract |
研究会を組織し、NPOとの協働の先進自治体である京都市、福岡県から担当者を招き、その内容について聞き取りを行った。また、兵庫県、東京都千代田区、世田谷区などの公募提案型協働事業を行っている自治体に対するヒアリングを実施して、協働相手の決定に際しての課題、さらには、公募提案型委託事業等の問題点を明らかにした。 また、NPOへの最大の行政補助金となっているCDBG(コミュニティ開発包括補助金)の交付過程と、その事業評価についてアメリカの自治体に対してヒアリングを行った。その結果、NPOに対する支援的側面はほとんどなく、委託、補助事業の遂行能力とプロポーザルの内容のみによって決定が行われていることがわかった。しかし、その評価には地域で市民参加のボードを設置して交付決定と事業の事後評価がなされていることが多いこと、さらには、アウトカムベースの評価指標を加えることによってNPOの活動が正当に評価されるのではないかといった知見が得られた。さらに、自治体の委託事業に際してその評価が厳しくなり、求める書類の量が増加傾向にあり、NPO側に評価コストが甚大なものになっていることも明らかになった。このことは、行政が納税者に対するアカウンタビリティを高めることが求められる中で、やがてわが国においても同様の課題が発生することが懸念される。このため、評価コストをいかに軽減するかも今後重要な論点になることが予想される。 以上の、研究会、国内、アメリカでのヒアリングを通して自治体とNPOとの協働関係における評価の現状と課題についてその概要把握ができたと考えている。次年度は、この成果を受けて、国内外の調査をさらに継続する中で、協働関係における評価の概念化と具体的政策提言をに向けて研究のとりまとめを行う。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 金川幸司: "NPOによる総合型地城スポーツクラブの設立・運営に関する研究"福岡工業大学研究論集. VOL36,NO.1. 57-60 (2003)
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[Publications] 金川幸司, 野上健治, 李文忠: "ローカルガバナンスの視点から見た自治体環境行政の評価に関する研究"福岡工業大学情報科学研究所報. VOL14. 75-84 (2003)
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[Publications] 金川幸司: "自治体とNPOとのパートナーシップについて-イギリスのコンパクトモデルを中心に-"社会・経済システム. 第24号. 31-38 (2003)
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[Publications] Masao Tao: "Organizing of Grassroots Associations : The Case of Japan, The Kyoto"The Kyoto University Economic Review. Vol.72,No.1/2. 23-34 (2003)
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[Publications] 立岡 浩: "非営利社会福祉施設における経営改善と評価項目の適合性に関する研究---福祉サービス第3者評価事業の厚生労働省チェックシートを使用したケーススタディ"実践経営. No.40. 185-189 (2003)
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[Publications] 立岡 浩: "NPOとPFI---CSO型PPPの構築を目指して"公益法人研究学会誌. Vol.5. 89-99 (2003)
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[Publications] 立岡 浩: "医療・福祉・コミュニテイのPFIと官民パートナーシップ----英国に学ぶ『21世紀の医療経営』(共著、真野俊樹編)"薬事日報社. 183-210 (2003)
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[Publications] 緒方由紀: "社会福祉をめぐる展開II『総合演習入門』(田中圭治郎編著)"ミネルヴァ書房. 192-199 (2004)