2003 Fiscal Year Annual Research Report
発生における細胞死阻害因子分解系の分子遺伝学的基盤
Project/Area Number |
15603008
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 正友 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40360549)
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Keywords | ショウジョウバエ / アポトーシス / IAP / reaper / sickle |
Research Abstract |
先行研究より、ショウジョウバエのアポトーシスの開始機構としてIAP(アポトーシス阻害因子)蛋白質のプロテオソーム分解系が、近年脚光を浴びている。細胞間相互作用により、細胞死を決定される機構については昆虫から哺乳類に至るまで分子遺伝学的に保存されていることが知られている。そのため、IAP分解系の分子遺伝学的経路を明らかにする事で、発生中に選択される神経細胞や組織の細胞死についての新たな知見が得られる可能性がある。そこで、今年度は、蛍光タンパクvenus(改変GFP)を融合させた。 Drosophila IAP-1(Diap-1)遺伝子をUASの下流につないだトランスジェニックフライの作製することから始めた。このトランスジェニックフライは任意の遺伝子のエンハンサーでGa14を発現できる系統とかけ合わせる事で、組織特異的に遺伝子を容易に強制発現できる系である。最初に、組織特異的なGa14系統として、幼虫期に唾液腺で発現できる系統を用いて検討を行った。ショウジョウバエでは唾液腺が蛹の時期に細胞死する事が知られているので、それより前の時期にDiap-1の分解に関わる可能性のある遺伝子を共発現し、蛍光標識された可視化Diap1の存在を実体顕微鏡下で生きたまま判定できる系の確立をめざしている。現在まで、細胞死誘導因子reaper、sickleを共発現させ、reaper共発現時のみDiap1の消失が認められている。これは、ReaperがDiap1の分解系を促進する事は知られているため、予想された結果を示唆するものと思われる。今後は複眼特異的Ga14系統を用いての検討も行い、より確かで簡便な系としての確立をめざし、遺伝学的スクリーニングを行って行く予定である。
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